7月26日。今日は、かながわコミニティーカレッジの「災害救援ボランティア(コーディネーター)養成講座(入門編)」の実技講座を担当させていただきました。会場は、横浜市民防災センター(沢渡公園)をお借りしての講座でした。
受講生は、約20名でしたが、暑さの中にもかかわらず朝早くから出席受講してくれました。
私たちざま災害ボランティアネットワーク(ZSVN)は、かねてからこのような講座が、冷房の効いた教室の中で紙の上での疑似体験、災害DVDの鑑賞、ワークショップなどを中心に行われていることに疑問を持っていました。
阪神淡路震災や3・11の災害の現場では何が起きていたのか…映像での確認はできますが、現実この神奈川で災害が起きてしまった時に「知識」だけで災害に対応できますかということなのです。
私たちは、所詮はボランティアです。
したがって、災害の現場に突入して被災された人々を救出することなどはできません。しかし、後方分野での活動は数限りなくあるはずです。
その活動の大前提は「生き残らなければならない」ということなのです。そして、何よりも私たちは災害救援ボランティア以前に、発災当時にいる場所の日本国民(市民)なのです。
その時、いた場所で、私たちが日ごろ培ってきた知識をベースとして人々の緊急生活を支援する「技」を発揮できなければコーディネーターとなる目的を達成することはできないのですね。
そのための「災害知識」を「対応することが出来る技」に変えられることが求められるのです。
その一部を体験してもらうことを目的とした実技研修でした。
テーマは、① 食う・・・・非常用炊飯袋を使い、最小限の「水」を使って、常時備蓄されている「米」を活用して「災害食」を炊き上げ、配食、食べるということを学ぶ。
② 出す・・・・排泄の課題克服の技を学ぶ。水が途絶えた時に一番強烈に影響を受けるのが「排泄」の問題です。これを「問題」として揉むのではなく「課題」として前向きにとらえてどのような対応方法があるのかについて学ぶ。
③ 飲む・・・・人間が生き抜くために必要なものは「水」です。災害のことを学ぶ人々は「知識」としては常識という形で知っているのです。しかし、日ごろから「一人1日3ℓ」という分量の水を備蓄している人は大体25%程度だといわれています。
その水を消費し終わった時に、どのようにして「水」を手に入れるのか。手に入れた「水」をどうやって運ぶのか、果たして容器はあるのか? 運んだ水をどうやって分けるのか…このようなことを学ぶ。
④ しのぐ・・・・身近な品物を組み合わせて一時的な生活を継続できる環境を作る技について学ぶ。
残念ながら我が国ではこのような具体的な「市民対象」の実技講座は行われていません。防災訓練は展示訓練、イベント化しています。むしろ参加者というか見学者に誤解を与える訓練になりつつあります。
これを変える必要があると思います。
昨日は、かなり早い時期から神奈川県には、熱中症注意報が出ていました。
運営者は、休憩所として冷房の効く「研修室」を確保、一時避難場所として消防署の体育館を準備して臨みました。エイドステーションとしてテントと給水所を設けました。
プログラムも基本的に50分で10分の休憩というタイムスケジュールで臨みました。
一番日差しの強くなる正午~14時の間はテントなどの日陰で過ごすようにしました。
研修生は、非常に熱心に取り組んでいました。この講座ではZSVNが作成した基本マニュアルを提供しました。このマニュアルを基本として地域に根差した形で広めていただければと思いました。
講座の運営にかかわられた県の職員の方もおそらく初めての体験だと思います。
この種の講座は、リアル感が必要なのです。今後の参考にしていただければと思いました。
残念ながら主催者である神奈川災害ボランティアネットワークからのインストレーターはいませんでした。
県ネットと関係のない団体であるZSVN関係者と講座委員のS氏しか指導者が参加していただけないという現実も見えました。
組織の形はあってもこのような実践的な活動支援が出来ないということは、県民のボランティア活動希望者のニーズとずれているように感じています。コミニティーカレッジの受講者が減少しているのもこのあたりに原因があるのではないでしょうか。
しかし、私たちZSVNは愚直に「食う」+「出す」+「飲む」を基本にしてプラスアルファーの知識や技を提供して受講された方がその技を持って地域で活動するときに「ヒーロー」になれることを目指してゆこうと思っています。
本訓練をサポートしてくださった、講座委員会の方々、instructionをしてくれたZSVN他のメンバーの方に感謝をいたします。暑い中本当にお疲れ様でした。
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