5月28日。座間市小松原にあります障害者総合福祉施設の「アガぺセンター」から職員向けの「災害に関する研修」の依頼があり事前の打ち合わせを行いながらプランニングをして実施しました。
アガぺセンター(http://www.agape-jcws.com/ )は、日本キリスト教団が運営する総合福祉施設で東京に本部を置き、施設や作業所を東京そして神奈川県座間市に置いて障害のある方々を受け入れて生活の支援や自立支援を行っています。
この施設には、福祉の勉強をして様々な勤務する資格を持って勤務する職員と日常の入所者、通所利用者の介助作業をする補助スタッフとがいます。そのほか市内には、いくつかの関連の施設をもっています。さらに、大きな特色は、平時から地域の多くのボランティアスタッフを活用するシステムがあります。
4年前の3・11に時には、中層階(4階建て)の建物でエレベーターが使えなくなるなどによって介助に大きな支障があったようです。その後も、何回かの余震の中スタッフの方々は本当に心配しながら生活を続けてきました。つい先日の、5月25日の地震でもエレベーターが停止したそうです。火災対策では、建物が屋上でつながって避難することができます。それでも車いすやベッドで寝たきりの障害をお持ちの方の移動には多くの人出が必要になると思います。
そのようなことから、一度、災害についても意識を高めるためにも職員研修の実施を勧めてきました。実は、アガペセンターは、私たちざま災害ボランティアネットワークが発足当初から団体会員として加入していただいています。それは、何かあった時に「助けてもらう」という「かかわる」の構築の一つだと考えて加入をしていただきました。これも今回の研修の中でお話しました。
今回の受講対象者は、約80名です。全員が一斉に受講することはできないので2グループに分けて、同じ日に実施することにしました。3時から4時半、5時から6時半とそれぞで90分間のプログラムにしました。私たちは介護、介助の専門家ではありませんし救急隊員のような救出の訓練を受けているわけではありません。したがって、そんな高度な知識を差し上げることはできませんが、様々な活動を通じて感じてきたことを伝えて職員の方々に「災害」というものを「自分のこと」さらには、自らが日々携わっている介護の中で「利用者の立場にたって」どのように対応を考えるかという基本的なことについて話し、考えていただくプログラムで進めました。
基本は、「生き残らなければ何も始まらない」ということです。特に、このような仕事に従事している方は、普通の人々より「生き残らなければならない」と思うのです。その時、自分はどのような行動をとるのか?とることができるのか・・・ということを平時から意識して行動をしなければならないのではないかということを提案しました。
その一つの体験として短時間でしたが「目黒巻」を体験していただきました。5月27日 午前11時に震度6弱の地震が施設を襲いました。皆さんはそれぞれの持ち場で仕事をしていました。という想定で、10分間でしたが発災から10秒、30秒、3分、3時間・・・というように自分がとるであろう行動を箇条書きにしてもらいました。
研修の最初に抜き打ちで「緊急地震速報」を鳴らしてスクリーンに疑似テロップを流しました。1回目、2回目いずれも、一瞬固まって…私の顔を見つめていました。後ろの席にいた私たちのメンバーが「地震!」と大きな声で叫び、私が講師席で「警笛」を鳴らして初めて「シェイクアウトアウト行動」をとりました。幼稚園児や保育園児、小学生低学年児童の反応よりはるかに遅い行動でした。(ごめんなさい)
座間市では1月23日に全市いっせいに訓練をやっていてもこのように不意を突かれるとできないのです。なにはなくても、皆さんはこの行動がとれないとその後が大変なことになるということなのです。
そのような事前の予習をしてもなお、シートに緊急地震速報をイメージしての書き出しができている人は各回10名程度でした。そして、そのあとどうするのか…まちまちでした。多くの方は残念ながら10分ぐらいのところで止まってしまい頭を抱えていました。
この目黒巻の考案者である、目黒先生は「人はイメージできないことは、行動に移せない」といわれています。確かにそうですね。私たちのように年中このような講座をやっていても本当にできるかというとなかなか全員のフェーズがあってるとは言えません。これは、自習でもできますので様々な場面を想定して書き出しをしてほしいということを伝えました。
このような施設で何が大切かということで話をまとめました。災害時に何を目的に行動するかということを明確にすることが大切であること。それは「いのち」を守ることです。ハンディキャップがある中でも生き抜くという意識を持っていただkのも大切ですが、勤務スタッフが守ることになるわけです。しかし、究極の場面に出会うことがあると思うのです。一人の人間にできることには限界があるのです。まずは、「あなたが助かる」ことが大事なのです。その中で緊急地震速報から振れが始まるまでの5秒から10秒・・・・それでも、避難路の確保、身近にいる利用者さんの頭を守りそして「あなた」も身を守らなければならないのです。あなたに万が一のことがあればあなたの助けを受けることができなくなる利用者さんがたくさん出てしまうのです。これを忘れてはいけないのです。ある種、この仕事についている方々の「覚悟」の一つなのです。
次には、被害を受けないために、最小に抑えるために必要なこと「そなえる」ということです。この活動がおろそか、通り一遍であれば災害が起きてしまったときに「後悔」することになるのです。「そなえる」ことの大切さを話しました。
最後は、「かかわる」ということです。災害は来るのです。来た時に、スタッフだけの力では絶対に不足するのです。スタッフ以外の力の確保を、日ごろから関係を築いいている近隣の方々の応援をいただくことができるようにしてゆくということです。専門的なことはできないかもしれませんが、いわゆる周辺業務は手伝うことはできるはずです。このようなことができる体制を日ごろから構築しておくことが大切です。1週間はどこからも専門的な方は入れないと思うのです。それまではスタッフが交代で乗り切る。
しかし、補助的なトイレの始末、おむつのの後始末、清掃、給食、配膳、食事サポートなどなど平時はスタッフの方々がやっていたことを任せていける体制を作ることなのです。
支援を受け入れる力…すなわち「受援力」をどのように作り上げるかだと思います。これからの、介護施設、老人ホーム、身障者施設などはこの受援力を高めておかないと、せっかく手伝いに来てくださった方々を「無」にしてしまうのです。これは、先日のネパールでの地震の時にも話題になりました。あれだけの多くの国際救援隊が手を貸そうとしていたのに空港での受け入れ態勢がなかったために入ることができなかったのです。受援力をいかに高めるかということを真剣に考えていただきたいことをお話ししました。
最後に、知識がいくらあっても知識だけではどうにもならないのが災害対応の「場」なのです。そのためにも、9月に座間市とざま災害ボランティアネットワークが協働事業で行う、Dコースの体験講座を受講してくださることをお願いして研修を終えました。
勤務が終わってからの研修で大変だったと思いますが、これをきっかけに自主的に自分たちの周辺の対応をどうするかを考えて時間軸を持ったマニュアルを作ってくれたらうれしいと思います。(プロジェクトができたらお手伝いしたいと思います)
ZSVNのメンバーの方も再度、目黒巻をしてください。加齢とともにイメージ対応力も落ちてきます。修正が必要だと思います。遅くまでお疲れ様でした。
コメントをお書きください