座間市保育課からの依頼をいただいた保育園の避難訓練の検証と保育スタッフ向けの研修が続いています。
6月25日:相模が丘西保育園、6月30日:ちぐさ保育園、7月2日:相模が丘東保育園の訓練の検証とスタッフ研修を実施しました。
基本的には研修の流れは、Partー2の保育園と同じです。しかし、保育園の立地条件が異なりますので保育園ごとの特性がはっきりと表れていました。相模が丘地区にある二つの保育園は、住宅密集地域にあります。保護者が駅から近い交通の便が良いところを選んで住むのでどうしても住宅密集地の保育園を選ばざるを得ないと思われます。一方、四ツ谷にあります保育園は、土地に余裕があるために平屋での保育園で周囲の空間にも余裕が感じられました。
住宅密集地の保育園は、万一の時の対応をどのようにしたらよいのか、二つの園の取り組みは本当に真剣でした。保育園の建物の事情で、0から2歳児までを2階で保育する園もあります。やはり、課題は避難路のことです。子供たちは自力で移動することが困難です。したがって歩くことのできる範囲に、一時(いっとき)避難場所が確保できないと厳しい状況になると思います。この辺りを、災害対応という観点で考えてゆかなければならないと思いました。改善すべき点もいくつかありますので改めて報告書に書かせていただく予定です。
どこの園でも「ダンゴ虫」という号令で園児は「シェイクアウトの安全行動」を完璧にとることができます。これは見ていても感動的でした。全国でこれほど徹底したシェイクアウトの訓練を続けている自治体は座間市のほかにはないと思います。私たちが、提言させていただき市長の英断で取り組んできた4年間の成果は見事に表れています。この子たちが、あと10年、この訓練を積めば確実に「自助力」は高まると信じています。その証拠は、現在の座間市の小学校低学年にもはっきりと表れています。
課題は、保育士さんの動きでした。どうしても園児の安全確認のために点検しようとするあまりに高い姿勢で歩き回っています。せめてヘルメットを着用して低い姿勢で這うような行動をできることを広げてゆかなければならないと思いました。保育士さんの身に万一のことがあったら園児たちは生き抜くことができなくなります。
3つの園は、すべて訓練シナリオができていました。「今日の登園園児の人数は?」という私の質問にも即座に回答がありました。また、避難に際して園長が非常用持ち出しのリュックと園児台帳を持って避難していました。
どの園でも、《地震発生》→ 「地震!」という呼びかけ、放送→ 園児はシェイクアウト安全行動の実施→ 揺れに耐える→ 揺れが収まると同時に、調理室から出火→ 「火事だ!」の連呼(停電で放送施設が使えない)→ 各クラスごとに園庭の指定された場所への避難→(園児のほとんどは指示がなくてもハンカチで口を押えていました。)安否確認・点呼→ 報告 という段取りで流れていました。
当然ながら、調理室勤務者は消火器を持って「火事だーぁ」と叫んで、近くの人に119番への通報依頼、消火作業、→ 通報を受けたものは消防へ電話をする(実際に通報訓練をやる園と模擬通報訓練とがある)という行動がとられました。
保育士さんは、保育室内を「誰か残っていませんか」「誰もいませんね」と呼びかけをして「トイレ」内の確認まで書き実に行っている園もありました。オプションで、その保育士さんが、閉じ込められて点呼の結果1名行方不明・・・・という状況を作って、ほかの保育士さんが探しに入り、けがをして倒れている保育さんを肩を貸して救出・・・したり、確認中に足にけがをして避難してきた保育士のけがを三角巾を使って応急手当をするという園もありました。鮮やかな手つきでの三角巾の処置は見事でした。
あいにく相模が丘東保育園では雨が降っていましたので、急きょホールに避難することになってしまいました
二つの園では、そのあと消火器を使った消火訓練を行いました。残念ながら、操作手順があいまいな状態になっていました。私たちのメンバーが正しい方法を示して交代交代体験しました。どこの園でも、園児はきちんと整列して行動を見学していました。外部から見学者があるというので先生方も張り切っているようでした。
訓練が終わって3園とも、私たちのメンバーによるブルーシート三角テント作りを見学しました。園児たちは、手際よく行われる作業を興味深く見ていました。中心のポールが持ち上げられて三角形のテントの姿が見えると歓声を挙げてくれました。そして、クラスごとに三角テントの中に入ってはしゃいでいました。記念撮影をしました。ピースサインをかざして喜ぶ姿はほほえましく感じました。ここで、いったん研修は終わり昼食となります。私たちも昼食に出かけました。
昼食後、午睡時間を使って、二つのグループに分かれて保育士さんへの研修を行いました。この研修では、何よりも「いのち」を守ることに全力を挙げること・・・それは、シェイクアウト訓練の確実な実行であることを強調しました。3つの園ともすばらしい指導でこれならば被害を受ける園児は最小限に抑えることができるということを話しました。
これは、何回もいうように「生き残らなければ何も始まらない」ということなのです。何をそろえても何をしたところで初動の対応が誤っていれば幼いいのちはなくなってしまうのです。生き残れたいのちを保護者に引き渡すまで全力を挙げて守り続けてほしいことをお願いしました。そのためには、「出す」、「食う」、「飲む」そして「電力の確保」が最大の課題であることを話しました。
園としての減災・災害対応の施策は「備える」「生きる」「かかわる」ということが基本でありこれに沿ってこれからも取り組んでいただきたいということをお話しました。何よりも、この子供たちの「いのち」は座間市の支えであり座間市の未来を輝かしものにしてくれるのです。保育士の皆さんの「防災力」の向上に園を挙げて取り組んでいただくことを願って帰ってきました。
残りは、あと3つの園です。どんな可愛い園児たちが迎えてくれるのか楽しみです。
ZSVNのメンバーも大変だと思いますが、私たちもたくさんの勉強をすることができたと思っています。
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