8月29日 座間市総合防災訓練が行われました。座間市の訓練は、毎年、中央会場(今年度は、座間小学校)と地域会場(サニープレイス座間)とに分かれて行われます。
私たち、ざま災害ボランティアネットワークは、座間市社会福祉協議会と協働で「災害救援ボランティアセンター(VC)」の開設・運営訓練を座間市地域防災計画に従って行ってきました。これは22年度の神奈川県座間市合同防災訓練の時から継続して行っています。県市合同防災訓練は、原則的には同じ会場内で県のシナリオに沿って実施されるのが慣例でした。しかし、座間市の訓練では、あえて座間市安全防災課と相談のうえで、ZSVNから県の災害対策課へ市の地域防災計画に準拠して行いたいという提案を行い、座間市が定めていましたVCである、サニープレイス座間にVCを開設して運営訓練を行いました。結果、この訓練は高く評価されました。
しかし、残念ながらその後の県市合同訓練を拝見すると、横須賀市といくつかの市を除いては、中央会場内で「VCのような訓練」が行われる状況が続いてきました。現実には、VCは、発災直後に開設されることはありません。先ずは、我が家を含めて住んでいるところの対応が第一順位です。その対応を放置してVCを開設したとなれば、私たちの活動は、地域の信頼性を損なうことになります。
地域が、一段落して(おおむね72時間以降)関係者の参集が可能になった時点で、初めて開設の準備が始まるのが過去の災害からの現実です。私たちの訓練は、市の訓練日(Dデイー)-3日を発災日として訓練を行ってきました。つまり、市の訓練日の3日前に災害が発生して、市内の状況が一段落した3日後を訓練の開催日に合わせているということです。今年度も、8月29日 の訓練開始ということでしたから、3日前の26日に発災と想定してその3日後の29日にVCの開設の着手するという想定でした。
社協職員は、原則全員参集とし、徒歩または自転車、バイクで参集。電車通勤の職員は常日頃使用している駅の一つ前の駅から徒歩で来る。参集途中、可能な限り経路の被災状況を写真に撮って社協本部のさばーへ送信すること。しばらくは帰宅することはできないという想定での準備を課せられました。ZSVNのメンバーも、同様の条件で8時30分にサニープレイスに集合し点呼とり、座間市社会福祉協議会会長、事務局長(センター長)のあいさつで訓練が始まりました。
活動ボランティア役としては、市内の地区社協から3名以上の方に参加を要請したほか、ボランティア連絡協議会のメンバー、個人活動ボランティアなど約50名の活動ボランティアが駆け付けてくれました。開設訓練は何回も繰り返してきていますし、使用するツールも専用のコンテナに収納され防災備蓄庫に格納されていますので整然と作業が進められました。また、前年度からの指摘事項であったVCの開設されたという広報と案内表示が不十分ということから会場への誘導表示の旗が報道に沿って掲げられました。
今回は、サニープレイス周辺からの活動ボランティア派遣要請を中心のほか、中央会場から土嚢作り作業、視覚障害の方の避難誘導要請を準備し、実際に中央会場に視覚障害の方にも参加していただきました。会場までは若干距離があるので、途中まで道路が使用可能ということで車両で送り込む方法もとりました。コンビニの駐車場を使わせていただきました。
幸いにして、とぎれとぎれに小雨が降る程度の天候でしたので熱中症への管理が不要だったのでエイドステーションは暇で助かったようです。活動ボランティアの受付、ボランティア保険の確認、ボランティア登録、活動前の説明、活動要請情報の開示、活動先の選択、活動者への作業内容の説明、活動場所の地図案内、資機材の貸与、出発確認など一連の作業が行われ50名のボランティアの方は出発してゆきました。
私たちの中央会場に開設されたVCサテライトにも約10名の土嚢作り作業ボランティアが2回、視覚障害者誘導ボランティアの方が2名到着しました。土嚢つくりの作業の安全管理説明を行ったうえで約20個の土嚢を作っていただきました。視覚障害者の誘導は、車いす誘導と徒歩誘導を行いました。また、近隣地区からの炊き出し機材の搬送、不足物資の搬送依頼などの作業が行われました。
一方、被災者からの「助けて情報の」受付作業も行われました。市内で災害を受けて人手が必要だとVCに来所した市民の方への応対作業です。この作業はデリケートな部分もありますので時間をかけて約3名の方からの派遣要請を処理しました。
帰着したボランティアさんの、ケアー作業とフロー作業も行われました。今回のような作業では心理的なダメージを受ける作業ではありませんが、災害によっては悲惨な場面に遭遇することもありますし、身体的に怪我をしたりする例もありますので、この作業も重要な位置を占めます。また、帰着したボランティアさんから、作業終了報告書の作成提出を受けながら、派遣先周辺の被災情報なども聞き取り次の活動に結び付けることにも取り組みました。
こうして、12時の予定時刻で訓練は終了しました。その後、中央会場からの派遣者の帰着を待ってスタッフ全員の反省会が行われました。この訓練は、いつでも、だれでも一通りの役割を果たせることを目的に、ジョブサイクル方式を取り入れて、毎回、別の役割を担当するようにしています。今年は、訓練進行者も後継者育成のためにあえて、サテライトのほうへ回り、新しい陣容で取り組みました。しかし、ベテランの職員のサポートもあってそれほどの混乱は起きなかったようです。
課題としては、駆け付けボランティアの保険加入のチェックと未加入者への対応ということでした。これは、事前打ち合わせの時にも課題となっていましたが、どのような動きになるかやってみようということで、そのまま流しました。やはり、指示がうまく出せない場面もあって、受付が渋滞を起こしたとの指摘がありました。聞き取り調査は2回目の取り組みでしたが、もう少し相談者の服装などにも気を配り臨場感のある演出が必要ではないかという意見も出ました。人繰りがうまくゆかずに、資機材貸し出し係りが人手が足りなくなったとの意見も出ましたが、これも知恵の出しようによっては問題を出さないでできるはずだと感じました。
訓練総括をお願いしたいという指名をいただきましたので、代表の私から講評をさせていただきました。昨年の12月にボランティア活動者対象の講座を開催しました。この受講者の方がどの程度参加されたかわかりませんが、今年度は地区社協からも参加いただき、例年いなく多くの駆け付けボランティアが来てくださいました。災害が起きた時に、困っている人を、比較的被害の少なかった市民の方々の力を借りて復旧作業をせざるを得ないことは覚悟しなければなりません。近い将来確実にこの地を襲うとされているM7クラスの地震では、首都がやられるということを考えなければならないわけです。したがって、そう短時間に、座間市へ活動ボランティアが派遣されるということは期待できないことをしっかりと考え備えておかなければならないと思います。
今日までの訓練を見てきて、座間市社会福祉協議会の職員並びに、ZSVNの取り組み意識は非常に高いと思います。これは、私自身が、現在も幾つかの社協からVCスタッフの養成講座の依頼を受けています。そのほか今まで県内のVCの訓練での社協の対応を見てきました。座間市の取り組みは特筆していると考えています。
今日の反省会でも幾つかの新しい意見が出てきています。地域班の小林班長とはそろそろ座間VCのマニュアルの作成に着手しても良いかなと話しています。多くの、VC訓練を拝見すると、初めにマニュアルありきなのです。したがって、みんなマニュアルに依存して自主的に考えることをしない傾向がみられました。
このことからあえて今まで5年間、10回の訓練はマニュアルなしで、事前研修、県のハンドブックの活用、その都度の計画書だけで動いていただきました。これだけの活動ができるようになればマニュアルを作っても良いかなと感じました。(非常に逆説的ですが・・・)
今後は、皆さん方の10回の訓練の積み上げを生かしたマニュアルを作ってゆきたいと思っています。これからもいつ災害が起きても対応できる役に立つことができるVC運営ができるように座間市社会福祉協議会そしてZSVNが連携してゆきたいということを話させていただきました。その後、常務理事のあいさつをいただき訓練を終了しました。参加された関係者の方々に感謝いたします。ありがとうございました。次回は、来年3月の訓練になります。
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