9月26日。前夜からの雨も上がり予定通り、ざま災害ボランティアネットワークと座間市の協働事業であります「体験型 市民減災・防災訓練」が、座間市役所ふれあい広場を会場に行われました。この企画も、自主企画を含めて、今回で10回目となりました。
協働事業の一つとして実施されてからは、おおむね、この会場で開催しています。協働事業の「市民防災啓発事業」のプログラムは主として「座学」「ワークショップ」を中心とした災害を「知識」として学びます。しかし、現実としては、地震の起きるプロセスなどの知識を持っていても、地震を止めることはできないのです。(基礎知識としては知っていて損ではないですが・・・)
災害が起きた時に必要なことは、座間市が行っている「シェイクアウト行動」の確実な実施なのです。何をさておいても「生き残らなければ、何も始まらない」のです。
先ずは、わが身と家族の安全を確保した後に、自宅内の被害状況の確認、出火していたら大声を出して近隣の協力を得ながら消火に専念することになります。(自助・・・70%)
自宅に直接的な被害がなければ、家族の安全を確保して、近隣(向こう三軒両隣)の声掛けをすることだと思います。その後、余震に備えて自宅を出て「いっとき集合」に集まって近隣の安否確認をすることになります。(隣助・・・20%)
その後のことは、その時、その場所にいる人でできることをできるだけやるという以外に方法はないと考えます。確かに、そのことをマニュアルのようなものにまとめて置くことは必要かもしれませんが、しかし、実際の災害の時にそのものを持っていることもわかりません。(共助・・・10%)
発災から一段落して必要なことは、「食べる」・「出す」・「飲む」そして「情報の入手の確保(電力の確保)」です。しかし、これらのことを、知識として持っていても、実際にできるように平時から「できる(技)」ようにしておくこと、必要なものを「備え」て置くことなのです。
この訓練の目的は、まさにこのにあるのです。ほぼ、毎年同じことを行っていますが、少しずつ変化させています。はじめのころは、若さに任せて救出・救助などということを大きく取り上げてきましたが、実際にはそう簡単にできません。私たちにできる範囲のことということで8項目を学ぶことにしています。
最初に、全員で体操を行い、活動の安全についての説明をします。次いで
① 非常用炊飯袋による炊き出しの準備作業体験および、災害食の体験(災害時の食事方法を考える)
② 災害時の家庭用トイレの使い方
③ 電力の確保体験(発電機の始動・送電・停止)⇒ 照明・情報の確保
④ 非常用三角テントの作り方と簡単なロープワーク
⑤ 水の確保と運搬体験
⑥ 「いのち」と怪我への対応体験(心肺蘇生と簡易搬送体験)
⑦ 家具の固定とガラス飛散防止法の体験
⑧ 消火活動(消火器の使い方とバケツリレーの体験)
を参加者の自主的な選択により、各体験ブースを回って「体験」をします。
各ブースに配置された、インストラクターは実際の手順の指導とともに、常日頃からの「備え」についても説明をします。たとえば、家庭用のトイレは、家屋が倒壊しなければ使うことができます。しかし、インフラがダメになれば水は供給されないために水洗機能が使えなくなります。そこで、90リットルクラスのごみ袋、45リットル程度の黒のビニール袋、新聞紙、消臭剤、ゴム手袋、前掛け、マスク、手指の消毒ジェルなどを一式パックにしてトイレの中に「備え」置くことを説明するなどをします。(どのように使うかは、ここでは書きません。参加して体験してください。)
災害になってから、コンビニやスーパーに行っても店舗自体がどうなっているかわかりません。おそらく、物資を入手することはできないということをイメージできないとダメなのです。
電気が来ないということは、真っ暗になるのです。しかし、私たちは日常生活の中で真っ暗という状況を体験することはほとんどないはずです。その時になって、懐中電灯は?と探し回ること自体が危険なのです。(理由は考えてください)災害をイメージしながら体験をするということなのです。
最後は、全員で「バケツリレー」で火を消す体験をしました。一般的に「バケツリレー」は単に人が並んでバケツに入った水を手渡しして火を消す行動と思っています。しかし、実際には効率よく、長時間続けても疲れが少ない方法を知らなければならないのです。それも体験します。
人は、全く体験したことのないことには手を出せません。しかし、一度でも体験していればその時に、体験を思い出しながら何とかできるのです。「助けられる人」から「助けることができる人」になることができるのです。
体験型 減災・防災訓練の目的はここにあります。今年度の訓練には、市民の方が82名、インストラクター26名、市職員3名が参加しました。
最後は、体験訓練開始前に、各自が炊飯準備した「コメ」が「ごはん」になっていました。この食事も単に食べるのではなく、災害時には何を考えて食べなければならないのか、すなわち「災害食」の考え方を学びながらそれぞれ食べて終わりました。
天候にも恵まれて、楽しい訓練ができました。座間市とざま災害ボランティアネットワークが協働事業として取り組むこの事業は、ざま災害ボランティアネットワークのメンバーのほか、私たちが減災や防災、災害対応の学びを行う「公益社団法人SL災害ボランティアネットワーク」のセーフティーリーダー(通称:SL)の方々の応援があってできています。県内の他地域のSLもこのように活動に参加することで、SLメンバーの技量も向上することになるのです。
座間市で起きている、「安全・安心のまちづくり」の活動は確実に広がりを見せていると思います。私たちは、自信を持って次の活動に進みたいと思います。ありがとうございました。
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