10月6日 座間市防災講演会がハーモニーホール座間小ホールで開催されました。
この講演会は、座間市と座間市防火安全協会、ざま災害ボランティアネットワークの共催で開催されました。また、この講演会は、「座間市いっせい防災行動訓練(シェイクアウト・プラス1 2016 in ZAMA)」のキックオフ講演会を合わせて行われました。
第一部の講演者には、神奈川県温泉地学研究所所長の、里村幹夫氏をお招きして「座間市で起こる地震とその対策」というテーマで講演をしていただきました。先生は、地震、火山の研究者で静岡大学の名誉教授でもあります。
お話の中心は、注目の都心南部直下地震です。大正関東地震のようなM8超クラスの地震が、関東地方を襲うまでにはまだ猶予期間はありますが、過去の歴史からの地震発生周期から見て、M7クラスの地震が、起こる周期の範囲に入っていることは否定できません。その場合には、座間市でも震度6クラスの地震に見舞われることになると思うので十分な注意が必要です。しかし、地震被害は備えれば少なくて済むのです。このことが何よりも大切なことなのです。
一方、発生確率としては低い地震とみていますが「伊勢原断層」地震が起きた場合には、座間市はかなりの被害が起こるとみています。それは、座間市が震源に近いからです。地震の揺れの大小は、震源との距離の関係が強く、当然ながら近いほうが揺れは大きくなるからです。
大地震が、発生したときに大事なことは「死なないこと(怪我をしないこと)」です。私たちが知ることができる、大正関東地震、阪神淡路地震、東日本地震などからの教訓が多く語られていますが、それは、生きていた人の教訓なのです。「死んだ人は教訓を語ることもできない」という現実を真剣に考えてほしいのです。おそらく、私たちが知ることができない状況で亡くなっているはずです。
何よりも、考えなければならないことは、家屋の耐震化、家具の固定だけは急いでほしいのです。阪神淡路震災の時に亡くなられた人の80%は、14分以内に亡くなっているのです。このことから、家屋の安全性を高めることは死なないで済むことにつながると思います。亡くなられた方のほとんどが、家具の転倒、家屋の倒壊による「圧死」であることを学ばなければならないと思います。
火山の動向ですが、箱根山の噴火警戒レベルは幸いにして下がりました。このことによる、箱根の観光業に及ぼすプラスの影響は大きいと思います。しかし、現実には、今も噴気孔からは噴気が出ていることは忘れてはならないのです。火山ガスで周辺の樹木には被害が出ているし河川の水も汚れています。だが、当分の間はこれ以上のレベルより上がることはないと思います。
富士山の地震活動について様々な情報が出ているようですが、今のところ直ちに爆発するということはないと思っていますが、噴火するときには噴火するという気持ちも必要だと思います。先生のお話は、ユーモアを交えて飄々たる感じが非常に印象的でした。
先生のお話をお聞きして感じたことは、地球の歴史から見て、私たちの生きている時代(期間)は微々たる長さであり、地震や噴火予知だとか災害想定だというもの自体が頼りないものなのかなと思いました。
第2部は、「災害発生 座間はどうなる」というテーマで、アドバイザーに里村先生、パネラーとして防火安全協会メンバー、立野台女性消防隊、ざま災害ボランティアネットワーク代表が参加してパネルディスカッションが行われました。
最初に、各団体からそれぞれの団体の活動概要の説明が行われました。
その後、座間市防火安全協会の鈴木さんがコーディネーターとなって各団体から先生へ質問をするという方法で進められました。
ざま災害ボランティアネットワークを代表して、東海地震の現在の状況について質問をしました。9月初旬 静岡県西部、東部そして駿河湾で地震が連続して起きていますが、これは東海地震の前触れの「滑り現象」が起きているのではないかという質問をしました。
先生からは、静岡県を中心とした駿河灘一帯を震源とする地震いわゆる「東海地震」は予知が可能ということから法律までできて様々な対応策が準備されています。すでに皆さんも報道などによってご存知かもしれませんが、最近の研究では地震予知はできないというのが地震学者の共通認識となっています。質問の地震は、震源は極めて浅いところでもあり直接フィリピン海プレートに影響されたものではないと考えます。駿河湾地震はプレート内での地震であり直接、断層のずれなどに影響を及ぼすものではないと考えますというお話がありました。
続いて、1944年に起きた紀伊半島を中心として被害をもたらせた東南海地震は、断層の西側の部分が動き東側の駿河湾部分の動きが不十分であることから「東海地震」という考え方が出てきているものと思われますが、今後、駿河湾部分にかかる断層が動くという逼迫性について質問をしました。
先生は、自分としては、東海地震というものが単独で起きる可能性は少ないと思っています。むしろ、東南海、南海トラフが動くときに連動する可能性のほうが高いと考えています。いわゆる「南海トラフ巨大地震」という想定です。この地震がいつ起きるかという時期を特定することはできませんが、無いというよりも起こりうるということを考えて対策をとることが大事だと思います。地震の予知というのは難しいですが、先ほどの説明の通り「周期」ということは否定できません。そのことから、国もその方向で対策を考えるようになっていますというお話がありました。
続けて、大正関東地震の時、座間村の記録を見ますと、座間の四ツ谷、新田宿などでは液状化でかなりの被害があったということが残されています。県の想定では座間における液状化の可能性は極めて低いという部類で表記されていますが、先生のお考えはどうでしょうかという質問をしました。
先生は、座間市の地勢図や地盤データーを見ていないので明確なことは言えないが、一般的にみて、92年前に液状化が起きたという事実を受け止めなければならないと思う。相模川流域の地域は、砂礫、砂利で構成され現在もその層の中を水が流れているということを考えると、その後、地盤改良などの対策をとっていない地域では、起こる可能性を否定できません。そのつもりで生活をして、万一の時には危険である部分から避難する必要はあると考えますというお話でした。
そのほかの団体も、それぞれの立場から質問をされていました。先生は、地震学の周辺部分の領域についての見解はわかりやすく丁寧に応えられていましたが、専門外の部分については、私の専門外の範囲のことなのでお答えすることはできませんと、正直にお話をされる姿に好感を持ちました。
引き続き、平成27年度のシェイクアウト訓練について、ざま災害ボランティアネットワークの代表から活動計画の説明が行われました。
代表は、4回目のシェイクアウトは、土曜開催となりテーマを「家族そろってシェイクアウト」を掲げて運動を進めてゆきたい。本年3月、仙台で開催された「第3回国連世界防災会議」で発表をする機会をいただけたほど、高い評価と多くの自治体から注目されていることもあり、さらに高みを目指して市民そして企業、行政が一体となって取り組み、いざというときに被害が少ない市を目指しましょうということで話を終えました。
遠藤座間市長が登壇されて、安全・安心のまち座間をより強いまちにするために、家族でそろって取り組みましょう。
座間市としては、プラス1訓練の一環として、平成28年1月23日の訓練当日は、職員の参集訓練を実施するべく各部署に指示を出している。いざというときに必要なのは、真剣な訓練の積み重ねだと考える。ぜひ、全市民挙げて12万9千人のいのちと安全を守る訓練にしましょうと挨拶がありました。
続いて、恒例の「シェイクアウト・キックオフ」を宣言されました。
「シェイク」という市長の呼びかけに答えて会場全員の参加者が声を合わせて「アウト」と三唱をして講演会を閉会しました。
平成27年度の、座間市いっせい防災行動訓練は、平成28年1月23日(土曜日)午前11時です。訓練会場は、その時、あなたがいる場所です。
訓練参加事前登録は受付中です。座間市ホームページから登録することができます。皆さんで参加してください。
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