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災害救援ボランティア講座①を開催しました。

     生き残らなければ何も始まらない訓練
     生き残らなければ何も始まらない訓練

2月7日 今週から毎日曜日3回シリーズで「災害救援ボランティア講座」が始まりました。初日は15名の受講者が参加してくださいました。

この企画は、座間市社会福祉協議会の「市民のための福祉講座」の一環としてここ数年、ざま災害ボランティアネットワーク(ZSVN)がお手伝いをさせていただいています。この講座の目的は、他の災害救援ボランティア団体が開催している「災害救援ボランティアコーディネーター養成講座」などという大上段に構えた講座ではなく、災害が起きてしまったときに一番身近な活動としてスタートする(過去においても現実に行われていた)「お互いさま救援ボランティア」活動をどのように考えてゆくかに焦点を当てています。

座間市の場合は、災害時の「救援災害救援ボランティアセンター」の開設については、2007年ごろから、座間市社会福祉協議会とZSVNが連携して訓練に取り組み開設・運営に関する各自の行動や、使用機材、ツール、グッズなどを専用の備蓄庫に備蓄、年2回開設・運営訓練に取り組んできています。したがって、万一大規模災害が起きて、参集がかかった場合、個々人の身の回りの災害対応を済ませた職員が、3日から5日ぐらい経てば集まって災害救援ボランティアセンターが開設できるレベルを維持していると考えています。

毎年の訓練を重ねる中で見えてきたのは、災害時に「助けて情報(被災者情報)」をどのように収集するのか? 「その情報に対応する支援者(活動者)」をどのように集まるのかということでした。一般的には、災害が起きると、被災地外から、すぐに救援活動ボランティアが駆けつけてくれる的な考えが一般的です。

果たして「来てくれるの?」「座間ってそんなに有名なの?」という疑問が訓練の反省会の中から出てきた課題でありこれを解決するために、この講座を始めました。

首都を襲う大規模災害をイメージしてください。皮肉でも批判でもありません。そんなに簡単に座間市を支援してくれる力は「どこにもない」と考えるのが大切だと思うのです。確かに、災害時相互救援協定を結んでいる自治体はあります。しかし、そんなに簡単に座間に向かって動けないと思うほうが大切だと思います。

それでは、この空白の数日間(1週間程度)をどうやって対応してゆくのかということをこの講座の「課題」としました。その解決の糸口は、「お互いさま支援(結)」だと思うのです。現在の新しい住宅は新耐震基準で建てられていますのでおおむね震度6弱程度では大破には至らないと考えます。したがって、市民個々人が「減災行動」を行っていれば火災さえなければ避難所などに行く必要はないはずです。しかし、市内には古い住宅もかなりの棟数があります。これらいわゆる旧耐震の住宅については被害が出ることが予想されます。この方々を支援する場面が出てくるのではないかと考えました。

発災直後の災害対応初動期には、「人命救助活動」を行うことになります。基本は「助けたい人より、助けやすい人」という観点で救出し救護対応をすることになります。阪神淡路の災害の時、近隣の方々に救出された人は、救出者全体の80%を占めたという報告は有名な話です。まさしく、「隣助活動」です。

この初動期を乗り切った後に、出てくる課題は、倒壊、半壊、全焼、半焼したような建物の始末と路地の通行確保対応などが出ていきます。この作業は誰がやるのでしょうか? 市道や県道などについての啓開作業は、公の作業で行われます。しかし、私道や私有地の作業は所有者の責任において行うのが基準です。これらの作業ができないと生活の復旧ができなくなります。最悪の場合には、座間市から出て疎開や引っ越しをしなければならなくなります。人口の流出です。これは何としても止めなければならないのです。このような事態に対応する市民個々人の支援を行う災害対応組織こそが「災害救援ボランティアセンター」なのです。

多くの被災しなかった市民の方々が、被災した人のためにお手伝いをすることになると思います。お互い様ですから必要なことなのです。しかし、ここで考えなければならないことは、大規模な地震災害の後には、余震が続きます。場合によっては本震に近い揺れをもたらす地震もあると思います。また、倒壊建物の近くには危険なものが散乱しています。市民のすべての方が安全靴やヘルメットを持っているとは限りません。手袋だってあるかどうかはわかりません。このような危険な環境の中の作業です。当然ですが、不測の事故が起きてしまいます。善意の気持ちで「お手伝い」をしたのに「けが」をしたり最悪の場合にはその「けが」がもとで入院や障がいが残るようなケースもあります。

そのようなときに、お手伝いしてもらった方の気持ちはどうでしょうか? 自分が頼んだのだはないから知らないという方もいるかもしれませんが、多くの場合、「申し訳ない。そのような補償が必要なのか」と考えると思います。善意だから「しょうがないですよ」とはいかないのです。まして、近隣の仲間だったら・・・・

このような事例は、阪神淡路、中越、中越沖、東日本などの被災地では多く報告されています。トラブルにまで発展した例もあるようです。しかし、このような事故は、「公」は民事不介入の原則でタッチしないことが多いのです。

座間市ではこのような事態が起きないようにすることが「被災地の学びを生かす」という一つの例だと思うのです。そこで、善意のお手伝い活動をする場合であっても「助けて情報」を災害救援ボランティアセンターに発信して、その「助けて情報」でお手伝いする方も災害救援ボランティアセンターを経由してお手伝いをするという考え方を、市民の方々に持っていただきたいと考えるのです。もちろん「ボランティア活動保険(天災型)」に加入していただいた上で作業についていただくことになります。

今回の講座の狙いは、このような初動期の「お互いさま活動」をどのようにこなして行かばよいのか、作業時間と休憩時間の関係、最低限の装備、安全衛生管理、活動するにあたっての注意事項などについて学んでいただければよいのかなと思います。県域の支援もなかなか厳しいと思います。従って、3週間程度を経過して初めて、被災地外の活動者が入ってくださると思います。それまでは、どのようなことをしても私たちの町を私たちの力で守るしかないということを真剣に考えて、備えていただければと思っています。

7日は、災害への備えとわが身と家族の安全確保、自助→隣助→共助、災害時の備えで考えるべきこと「食う」「出す」「飲む」+「情報の確保(電力の自助)」そして、避難所へ行かないで済む日常を作る大切さを学んでいただきました。

そののちに、災害救援ボランティアセンターの機能と活動の流れについて入門編を学んでいただきました。来週は、これを基本にして、実際の災害救援ボランティアセンターを疑似的に作って、手続き、必要な帳票、情報、活動開始までの手順、活動後の手順などについて学んでいただきます。そして、おまけとして、「災害時の食事」→「災害食」を体験していただこうと思います。参加者で食事をしながら「災害よもやま話」ができたらいいなと考えています。

まだ、受講人数に余裕がありますので応募してください。お待ちしております。