小学校防災授業の支援をさせていただきました。

栗原小学校4年生 身体を守る行動訓練
栗原小学校4年生 身体を守る行動訓練

12月16日 座間市も寒い朝でした。

 

今日は座間市立栗原小学校の4年生の「総合の学習」の中の防災体験学習の支援をさせていただきました。

 この学校とのお付き合いは長く、記憶にありますのは、私たちの活動の起爆剤になった「避難所宿泊体験塾」の発祥の学校でもありました。当時のH校長先生が、防災教育に熱心でぜひ取り組んでほしいということでスタートして以降、市内の6つの学校で展開しました。それが今の私たちの活動の基礎作りになりました。そのような歴史のある学校です。

3年前、全校の生徒を学年別に3グループに分けてシェイクアウト訓練の学習、2年前には6年生対象にも防災授業をさせていただきました。また、放課後の学童支援活動であります「ゆうゆうクラブ」を通じてのお手伝いをさせていただいてきました。

  

 今回の支援授業の話は、急なオファーで学校との打ち合わせも十分ではありませんでした。与えられた時間は、2コマ学習で、3クラス111名の児童を対象に、「災害を考える」・・・命を守る というテーマで始めました。

 

 自己紹介の後、初めに、今から21年前に発生した「阪神淡路大震災」記録を神戸市教育委員会が防災教育用にまとめたDVD「幸せ運ぼう」の中にある「あの日こんなことがあった」というタイトルの映像を流しました。災害の概要を3分の長さに中にコンパクトにまとめた秀作だと思っています。子どもたちは息を凝らしてみてくれました。

 

 私たちの活動の根本は、大人(保護者・付近にいる大人)の判断ミスで災害で子どもの「いのち」を失うことがないようにすることを目指して活動をしています。

そして「いのち」は一つしかないということを伝え、どんな時でも「自分のいのちは、自分で守る」という安全行動が取れるようにすることを目指して活動しています。

その一つが、座間市と共に取り組んでいる「座間市いっせい防災行動訓練」なのです。

 

 プロジェクターに映し出された画面が警告表示の後、「緊急地震速報」の画面に代わると同時にチャイム音が体育館全体に響き渡りました。子供たちは自発的に防御姿勢をとりました。また、ある子どもは驚いて立ち上がってぐるぐる回る子どももいましたが、先生が落ち着かせて身を守る行動を取りました。

今日の授業の支援には保護者の方も参加されていましたが、保護者の方も身を守る行動がとれていました。約1分後には、体育館の中は私以外、全員が安全行動を取っていました。

「はい、大変よくできました。元の姿勢に戻ってください」という合図で次に移りました。

 私たち、様々なところへ出かけて授業支援や講座、訓練を行いますが、座間市の園児、学童、生徒はどほぼ完全な安全行動を取れるところはありません。学年が上がるほど「照れ」が出てきて、茶化す子供もいますが、それでも大人のように頑として行動を取らないということはありません。

 

 このわずかな行動の差が、いつか来ると言われている「大規模地震」の時に、人的被害の差として現れると思います。シェイクアウト訓練に対しては、様々な評価があるのは知っています。単発のイベント型の訓練ではさほどの効果は期待できません。しかし、座間市は、年間のシェイクアウト訓練ロードマップを敷いて「市民の減災・災害対応力の向上」を目指して生き抜くそして再生可能な「まち」を目指しています。

 

 そのために冷静に判断すればは、何よりも、子供たちが生き残らない自治体は復興がおぼつかなくなるということなのです。この子供たちも歳を重ねれば自分で判断して危険を察知して行動を取ると思います。その時に、とっさにテレビを抑えるような馬鹿な行動はとらないと思うのです。

 

目指す行動を支えるキーワードは「生き残らなければ何も始まらない」ということです。・・と入っても「自分は生き残る」という安全バイアスが働いてしまうので。今の科学では地震を予知したり、止めることはできないことを話しました。

 

 ではどのようにして被害を少なくするか、それには地震が来る前から、家を強くすること、部屋や家の中の様々なところにある危険なことを直して置くこと、テレビを倒れないように固定して置くことなのです。テレビを固定している家がどのくらいあるか手をあげてチェックしましたが、約10%の家でしか対策が取られていないようでした。

「テレビは飛ぶよ」と話すと、「なんだかこのおじさん大げさな人みたい」というような顔が見て取れました。そこで、同じく21年前の阪神淡路地震の、コンビニの防犯カメラに残っていた映像を見てもらいました。子供たちは、息を止めるような顔をしてみていました。

帰宅してどのようなことを話し、それを保護者の方が受け止めるか・・・「家庭内防災対応」がすべてだと感じますね。

 

 おじさんは、皆さんを脅かそうということでいうのではなく、皆さんは必ずこのような大きな揺れの地震とぶつかることになります。だから、こうして君たちが「いのち」をなくさないようにお話をさせてもらっていることを話しました。

 

 災害になって一番困ることは「出す」(うんことおしっこ)、「食う」、「飲む」ことです。これが確保されれば不安の80%はなくなります。さらに、地震のお家の中が一段落した後に清掃などをするときに足を守るために必要なスリッパを新聞紙で作る体験をしてもらうことを話しました。

 

まずは「食う」というテーマで「アルファー米」でごはんを作るところを見てもらいました。本当は、各クラスごとにやればよいのですが、50人分のアルファー米ボックスですので、大量なご飯ができてしまいますので、1箱だけを作りました。それでも約8ℓのお湯を必要とします。

子どもたちの前で箱を開けて、内容物を説明しながら代表の生徒に中を見てもらいました。お湯を入れて封をして時刻を記入して後は保護者の方へお任せしました。

 

 体験班に分かれてもらいました。

1組は「スリッパ体験」、2組は、水運び体験、3組はトイレ体験と約20分の時間を使って、順番に体験をしました。本当は、あと10分ずつ時間があれば子供たちも十分な学びができたのかな?と思いました。

 

 水運搬体験は、体育館横の広場で行いましたので寒かったと思いますが頑張って取り組んでくれました。

初めて気づいたのですが、スリッパ作りで使う新聞紙を各自持参するようにお願いしました。ところが、新聞を購読していない家庭があるのですね。今後はこのあたりの指示をどのように出すのか学校とも相談が必要だなとおもいました。

トイレの体験は、家がつぶれなければ、お家のトイレは使えるのでそのための備蓄と、使い方について説明と、体験をしてもらいました。

 

 最後に、全員元の位置に整列して授業のまとめをしました。

私は、何よりも「いのち」を守ってほしい、そして命があれば何でもできること、地域でお手伝いをしてほしいことをお願いして終わりました。

何とか、コマ時間内に収めることができました。

そのあと、保護者スタッフの方々が、炊きあがったご飯を配食してくださいました。

3学期に、学習の発表会があるようです。楽しみにしています。ざま災害ボランティアネットワークのスタッフの皆さんご苦労様でした。