立野台小学校の「親子ぼうさい生活体験塾+避難所宿泊体験塾」は9月9日~10日にかけて計画通り実施しました。
参加者は、一般市民 24名、ざま災害ボランティアネットワークメンバー22名、合計46名でした。宿泊体験者は20名でした。(宿泊体験者は毎回この程度です)
この企画は、2009年8月から順次、市内小学校をお借りして行ってきました。
2011年6月の東日本大震災直後、ひばりが丘小学校の体験塾では、参加者が60名、スタッフが20名の80名の体験塾になりました。2011年9月に中原小学校で開催計画を立てましたが、大雨で中止となってしまいました。
その後、私たちの東日本震災の被災者支援活動が多くなってきました。さらに座間市との協働事業が活発になったことなどから、実施を一時休止しておりました。
東日本震災から、6年半、熊本地震から1年半、被災地支援活動先も絞り込みが出来、私たちの活動も地元を何とかしなければならないということで、今年度の活動方針に計画して今回の6回目の体験塾となりました。
今回は、時間的にも余裕をもって広報や各種PR活動にも取り組めたと思います。
夏休み前に立野台小学校の全家庭へビラの配布も済ませました。入谷、緑が丘地区への自治会を通じた広報にも手抜かりなく取り組みました。
ところが、残念ながら立野台小学校の家庭からの反応はなく当日を迎えました。
確かに、PTAやおやじの会などを巻き込んで行えば参加人員は増えると思いますが、避難所はPTA会員の方だけのものではなく「地域の避難所」であるわけです。私たちの活動は、今までもPTAなどとの共催を取らないで行っています。それは、誤った災害行動情報を与えない事を心がけているからです。
避難所には様々な方々がおいでになります。多くの方は、避難行動=避難所へ行くこと・・・と理解しているのだと思います。学校施設には二つ役割があります。それは「避難場所」と「避難所」なのです。この二つの区分を理解されている方は多くないのが現実です。災害が起きたら避難所へ行けば何とかなるということなのでしょう。
各地の災害地で避難所で「物資」や「給食」を受けている報道映像が誤解を深くする原因になっているのかもしれません。
立野台小学校の避難所の収容人員は265人+4つ程度の特別教室(約80名)ですから340名程度です。したがって、避難所へ収容される方は限られています。
このような災害が起きた時の避難所に関するルールを学ぶためにも体験塾は有効だと考えてきました。
立野台小学校の学区の方々が、災害時には「避難所」を頼らない災害後の生活ができるようになっているのだったら私たちは心配しすぎなのかもしれません。
しかし、市の人口分布資料などを見た時に、地域は確実に高齢化が進んできています。
来年度には、おそらく座間市全体でも65歳以上の人口が25%に達すると思います。
平時には「あんな遠い学校に体験塾などには参加できないよ・・」といっている方も、避難所を頼ってこられるかもしれません。また、自治会などに加入されていない方は、このような市の災害対応についてあまり関心がなく日々を過ごされているかもしれません。
災害は自治会の加入、未加入者の区別なく襲ってきます。平時から情報を持っている市民の方々は冷静な行動ができるかもしれません。しかし、情報がないために、やみくもに「避難所」という看板を頼りに押しかけてくるかもしれませんね。
残念ながら避難所の開設は「公設・民営」というルールがあります。勝手にドアを破って体育館などへ入ることはできません。責任がある市の避難所開設担当職員が建物の危険度を判定し異常がないということで開設作業が始まります。
職員も家に帰れば「一市民です」。家庭人です。まずは、自らの命を守り、家族の「いのち」、安全を確保して、近隣の状況を把握し、手を打って一段落したのちに、避難所へ参集することになります。
通常は避難所の開設には6時間から24時間かかるといわれています。「何してるんだ」「早くしろ」と言ってもそう簡単には開設・収容作業はできないのですね。
これ等のことを学ぶための体験塾なのです。また、避難所は避難者の手によって「自治」で運営されることになっています。市の職員がすべてを行うということは、したくともできないというのが過去の災害でも皆さん方は感じていると思います。
そのようなとき、避難所ではどのようなルールが決められているのか。そのためにはどのような組織が必要なのかということも学んでいただければと思っての体験塾なのです。
残念ながら現在の状況では、市が主催しての宿泊型の訓練を行うことは困難です。したがって、私たちボランティア団体が取り組んでいるのです。ご理解いただければありがたいです。
今回は、聴覚障がい者の団体の方が10名ほど3回の当事者研修の最終回ということで参加してくださいました。避難所には障がいのある方も来られます。健常者の方と同じ場所で避難生活をするわけです。お互いに様々な人が収容される場所であることを平時から知っておくことでいざいという時に、共存でき、お手伝いできる環境を作ろうという思いで取り組みました。彼らが積極的に避難所を、また災害を理解しようとする姿は心に残るものでした。支援者の方々の努力に感謝します。
まだ、避難所の取り組みは未完成な部分があります。これからも市と相談をしながら、せっかく生き残った命が避難所やその後の避難生活で失われないためにも努力してゆかなければならないと思っております。今回は、遠く横浜から参加してくださった親子がいます。これも、避難所は旅行者も収容される場所であるということを知っていただきたかったのです。避難所は被災された人々の中で真に困っている方を収容する場所なのです。
したがって、皆さんが平時から災害のことを考えて、災害が起きても避難しないでも良い安全空間を準備して、備蓄も最低でも5日間、出来れば1週間、物流が何とか動き始めるまで自力で生活できるレベルを備えていただければと思うのです。災害時に避難所に来ないためにも避難所を体験してほしいのです。
避難所はホテルではありません。
来年も、また場所を変えて開催したいと思います。ぜひ、参加して避難生活のつらさをイメージしてほしいと思うのです。
こうして書いているときに、北海道 浦河沖で地震がありました。先日は、座間市と関係の深い秋田県仙北市でも地震がありました。
首都を襲う地震は必ず来ます。その時、慌てないためにも「生きる」・「備える」・「関わる」ことに関心を持ち、実行されることを願っています。
参加してくださった皆さん、そして訓練に協力してくださった立野台小学校関係者、活動の支援をしてくださった手話通訳者並びにざま災害ボランティアネットワークのメンバーの方に感謝します。
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