2020年10月26日、27日両日にわたって、公社SL災害ボランティアネットワークと、ざま災害ボランティアネットワークが取り組んできました、「感染症予防ガウン」が座間市並びに座間市社会福祉協議会に寄贈させていただきました。
2020年5月、世界を覆っている新型コロナウイルス(以下「COVID-19」)の感染拡大を見ていた、ざま災害ボランティアネットワーク(ZSVN)多くのメンバーが研修や活動している「公益社団法人 SL災害ボランティアネットワーク」がコロナ禍の活動の一端として感染症予防ガウン(代用品)を製作して、活動拠点の自治体や、医療機関のバックヤード作業用の資機材として提供並びに備蓄に協力できないだろうかという提案が、SL活動者の中から出てきました。
様々な意見が出されましたが二次、三次感染が広がったことを想定し、「今、COVID-19のために活動ができない」ということで籠っていることでよいのだろうか?何かできることに取り組もういうことを共有することができ活動が始まりました。
活動に必要な資金は、SLメンバーによる寄付、また、活動拠点の地域で、日ごろから私たちの活動を支えてくださっている方々に呼びかけをして「寄附」をいただきながら取り組むこととしました。
活動拠点を募集したところ、千葉県は柏市、船橋市、神奈川は座間市が名乗りを上げて理事会の承認をいただきスタートしました。(船橋市は行政が対応するということで活動中止)
技術指導並びに材料の手配は、会員のH氏が経営する株式会社コンサイド様にお願いすることにしました。
ZSVNのメンバーは、H氏が取り組んでいる会社内の作業場所を見学して技術指導を受けました。
その後、ZSVNのメンバーが、作業効率を上げるために作業に使う「治具」などの開発、「工具」の改造に取り組みました。
ZSVNは、関係者のご理解によって、座間市より3か月間連続して使用できる作業所をお借りすることが出来ました。ZSVNのメンバーの手で、作業場の整備に取り組み7月中旬から会員に対して研修をしながら試作品つくりに取り組みました。
残念ながら作業場は、冷房装置はなく暑い中、三密にならないように作業スケジュールを調整しながら7月20日から、製作に取り掛かりました。
当初は、なかなかイメージ通りに仕上がりませんでしたが、何回かの作業手順の変更、工具の改良、作業工程の修正を行いながら8月に入ると、連日それぞれの得意分野に分かれてパーツを作り、全体の組み立てが進みました。この製品には、簡易型のFaceshieldを入れることになり、その製作は各地にいるSL会員にお願いしました。埼玉SLネットワーク、市原SLネットワーク、静岡県富士市に在住のSL会員の方々にご協力お願いしました。
製品は写真にもありますように、「ガウン」、「マニュアル」そして「簡易型Faceshield」を1セットとしてまとめられて25着単位で段ボール箱に詰められます。備蓄品であることから、いざという時に使えるようにするために1枚、1枚アルコールで消毒をした後に袋に密封され、長期備蓄に耐えられるように箱のつなぎ目はテープで固く止めるようにしました。
当初の目標は、1300着ということでスタートしましたが、できる限り製作しようということで1500着に向かって挑戦しましたが、8月後半ぐらいから、材料の「不織布」が市場から姿を消してしまい、個人への販売も止められてしましました。材料供給元のH氏は、様々な伝手を頼って探すほか、ZSVNでも独自に材料の確保に奔走しました。やがて、個人への販売も止められて、企業向けに週に2本程度という具合に限られた形で販売されましたが、7月時点から見ると価格は3倍になる例も見られました。
製作に取り組む会員も技量が向上して、最終検査段階で「やり直し」という判定も少なくなってきました。
一方、柏市での作業は、座間のように連続して作業場が確保できないこともあって苦労していましたが、皆さんの協力を得て8月末で約500着を製作することが出来ました。
この活動の資金は、寄附金で賄われていることもあり、材料を無駄にしないように在庫管理もきちんと行われました。柏作業所の最終日に残った材料は、座間に移されて無駄なく使いました。
座間市は、県央各市が次々と訓練の実施を見合わせる中、9月5日にCOVID-19の下での災害に対応するためには、どうやったら良いのか?ということをテーマに「総合防災訓練」を行いました。
ZSVNは座間市社会福祉協議会と連携して、会場となった市立相模野小学校の体育館で「災害救援ボランティアセンター」の開設並びに運営訓練に取り組みました。
その訓練で、試作段階で作られた「感染予防ガウン」を実際に装着して参加しました。外気温35度の中で、ビニール製のガウンで身体が覆われると、たちまち全身に汗が出始めて、約30分後にはガウン内が、発汗した汗が玉になって見える状態になりました。その汗は腕の部分を伝わって「ポタポタ」と地面に落ちることが解りました。しかし、腕の部分に「不織布」を使たことによって「ベタベタ感」を感じることはありませんでした。この結果、COVID-19は身体を守るための最低の機能が備わっていると判定しました。
作業は、9月に入っても続けられ9月29日最終日で1803着のガウンを作ることが出来ました。
そして、公社SL災害ボランティアネットワークの理事会で、配分計画が承認されて、製作したガウンの内1350着(避難所用:1000着、災害救援ボランティアセンター用 350着)を寄贈し、残余の450着は、大口の寄付をいただいた関係団体、自治会などに贈ることにしました。その後に残った分については、SL関係希望者に有料頒布させていただくことになりました。
この活動を通じて見えてきたことは、「そのような備蓄品は、行政がやるべきではないか?」という意見もありました。確かにその通りかもしれません。しかし、災害はいつ来るかわかりません。私たちは、3・11以降様々な被災地で、支援活動をさせていただきましたが、どこの被災地でも「まさか、ここが被災地になるなんて・・・」という言葉を聞いてきました。「まさか・・・」と言っても免責にはならないのです。この、「まさか」という事態に対応することが「危機管理」の基本です。
国、県は「防災」「減災」と言われますが、私たちは、さらに上位の概念での取り組みが必要ではないかと考えてきます。固い表現ですが、「危機管理」ということです。私たちにとって「災いとなるものすべて」が「危機管理の対象物」だと思います。安心・安全な暮らしを維持できる仕組みは、行政だけでは実現できません。市民一人ひとりが、災害は「わがこと」という意識を持って、最低でも初動期の72時間は、個人の力で生き延びる事が出来る備えが必要だと考えます。
最近は、自治会の加入率が急速に低下してきています。これで、良いのだろうか?と感じていますが、これは行政も市民もしっかりと考えて自らの「いのち」は自らの手で守ると(自助)いうこと、そして、向こう三軒両隣(隣助)で乗り切って、だんだんつながりができる中で「共助」が構築され、災害の中からの復旧に繋がると考えています。私たちは、座間市民の方々が災害の中で「死なない」「ケガをしない」「火事をださない」ということを広めています。なぜならば、人的被害が少なければ、復旧・復興が早まることになります。
避難所の訓練で「なんで、市民の俺たちが避難所の作業をしなければならないのだ」ということをお聴きします。でもそんなことを言う前に、避難所に行かなくてもよい平時を作り出せれば避難所はいらないのです。むしろその方向へ漕ぎ出してほしいと思っています。
私たちは、また次の活動へ向かいます。皆さんもぜひ、「ざま災害ボランティアネットワーク」と一緒に活動をしませんか? 毎年2回、消防本部で「災害救援ボランティア講座(3日コース)」を開講しています。
市内各地域の自主防災会がありますが、輪番制の組織では、いざという時に力が発揮できませんよ。基本は、「ボランティア活動」でなければ機能しないのです。
最後になりましたが、この活動に対して、各方面からご寄附をいただきました。大切に使わせていただきました。現在、収支計算のまとめをしております。11月半ばにはホームページでご報告が出来ると思っています。ご協力ありがとうございました。
どうか、この「感染症予防ガウン(代用品)」が役に立つことがないことを願っています。
3か月間の様々な思いを写真で振り返りました。そうそう、差し入れをくださった方にも感謝いたします。ガリガリ君がうまかった!!
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