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2021年度協働事業がスタートしました

2021年度の座間市とざま災害ボランティアネットワークの協働事業の「市民減災・防災啓発事業」がスタートしました。

生憎の雨にも関わらず多くの方々に参加していただきました。今年度のテーマは、「おうち避難の勧め」ということで、いまの(COVID-19)の状況下での避難行動の在り方に焦点を合わせて市民の方々に正しいと思われる情報をお伝えして、皆さんがその意味を理解して、家族で考えて情報を共有されて「死なない、ケガをしない、火事を出さない」という自分たちが災害直後唯一できる行動を学んでいただきたいと思いました。そして、できれば今日のセミナーの一部でもよいのですが、「これはやっておこう」とおもったことを行動に移していただければと思います。

 

 私たちは、市民団体としてそれぞれの会員が、災害の中で起きる事柄を学んで、時には被災地に出かけて行って実際に被災された方々とお話をさせていただいて学びを重ねてきています。その中から、伝えておかなければならないことを会員で共有しながら活動をしています。

本日の、会場には、市長、教育長そして芥川県議などの方が市民として受講をしてくださいました。

 

 最初に、座間市の危機管理課のMさんが季節柄このことは伝えておかなければならないという視点から、2019年、2020年と各地で大きな被害を出してきた反省から、国が見直しに踏み切った「水災害」における被害減少を目指して行った「避難の区分」の変更について話がありました。短時間でしたが、わかりやすく話してくださいました。

 

 概要は、「避難行動」についての発令基準、避難行動について国が5月から変更しました。今までは、危険度合いを5段階に分けてそれぞれに備えのタイミング、避難の行動について定めていましたが、「避難勧告」、「避難指示」が同じレベルに含まれていたこと、避難に時間がかかる災害時要配慮者の扱いについてわかりやすくしました。レベルに色分けされていた区分をすっきりとわかりやすくするために、「避難勧告」という避難行動区分を廃して、「避難指示(全員避難」)というわかりやすい括りにしたことです。さらに、避難準備についても高齢者など避難に時間がかかる方々に対してレベル3で避難行動を促すものとなりました。レベル5については「緊急安全確保」として避難行動については、すでに「災害に巻き込まれている状態」なので自分自身の判断で「いのち」を守る行動と決めてその一つの方法に「垂直避難」行動などを促す考え方に統一されました。

 

 これら「水災害」の区分は、主として集中豪雨や線状降水帯という異常な雨の降り方が要因となる災害に適用されるものです。したがって、気象情報などを的確に情報収集をしておけば事前対応が可能な災害に対するものです。行政も早め早めに行動して、災害が予想される区域にある避難所を早期に立ち上げて住民の方々の受け入れができるようにしなければなりません。座間市では警戒本部が開設され必要な指示が出されます。したがって自分の住んでいる場所が、水害(内水氾濫を含む)に対してどのような条件の場所なのかを市が発行する「ハザードマップ」などで確認したうえで、安全な場所と確認できていれば道路脇の側溝の水の流れに支障が起きないようにするなど普段の雨よりもちょっと大きく気配りをしておけばよいと思います。ただし、台風など風を伴う気象現象においては「風害対策」を講じなければなりません。座間市では、相模川、目久尻川(一部流域)、鳩川の水流域の方は注意しなければなりませんが、一部市内には、低地の部分もありますし、遊水池付近では貯水量を超える雨が流入すると被害が出る場所もありますので注意が必要だと思います。

 

 この際の避難は短期間の避難となることが多いことから、避難者に対しての食料などの配食は行わない(飲料水は別)ことが原則ですので各自が、避難者はそれぞれ1日分から2日分の食料等を持参して避難することになるわけです。このようなことについて、とても分かりやすく説明をしてくださいました。

座間市では2019年10月に、城山ダムの緊急放流という事態によって、約1300名の方が避難をされましたが、避難行動を促す「防災無線」に無条件に反応して、避難所よりも高い場所に住まわれている方が、下のほうにある避難所へ移動をしていた例がありました。そのような無駄な動きを避けるためにも知っておいて欲しいと思いました。

 

 引き続き、ざま災害ボランティアネットワークから、「おうち避難の勧め」というテーマで話をさせていただきました。この話の主力は、突然襲ってくる災害からの「避難行動や避難生活」についての考え方話させていただきました。

わが国では「地震」が引き金となって起きる災害が心配されています。ここ数年私たちは、地震の周期説に裏打ちされている首都圏での地震や、以前から言われていた「東海地震」をも吞み込む広さの「南海巨大トラフ地震」からどのように身を守り、生き残り、生き延びるかについてセミナーや訓練を行っています。

 

 我が国は、1995年1月の阪神淡路震災以降、活動期に入っているといわれています。地震の年表を見てもそれを感じます。昨日も四国を震源とする地震がありましたが、気象庁の記録を見ればわかるように、毎日数多くの地震が起きています。

後数年で、1923年9月1日に起こった、大正関東大震災から100年目を迎えます。その後も幾多の地震から被害を受けてきています。関東大震災では座間村でも旧主要居住地域だった相模川流域の部落では多くの被害によって家屋などが倒壊、半壊をしています。(液状化現象による被害)

 地震学的には、関東大震災の再来といわれる「相模トラフ地震」には、まだ時間的に余裕があるといわれていますがそれとてどこまで信じてよいのかわかりません。

当面は、「都心直下南部地震」といわれる「首都」を襲う地震が心配です。座間市でも、この想定地震での揺れは「震度6強~震度5強」と予測されています。30年発生スケールでは70%を超えています。

課題は、「地震などの災害が発生すると」家屋に被害が出て住むところを失う人も出てきます。最近の建築基準は耐震に対しては厳しい条件が課せられていますので、諸外国のようにM6クラスの地震で建物が倒壊することはないといわれていますが、地震からは何とか被害をのがれた住宅が火災によって延焼に巻き込まれることも予想されます。このような、被害から身を守り生活を継続する場所として「避難所」があります。

 

 ところが、現在、世界は新型コロナ感染症によって、多くの人々の命が失われています。

コロナ感染症から身を守るには、「三密」を避けることと、徹底した手指の消毒とマスクの着用が言われています。我が国では、この約束が守られている範囲内では、感染爆発が起こらずに何とか現状を保っています。

 

 万一、このような状況下で地震災害が起きた時に、私たちは今までのように無自覚的に学校の体育館などに開設される雛所に行くのでしょうか? 当然、密な状態が起きることはわかっているはずです。衛生状態、感染症予防、医療機関の機能維持が保証されているのでしょうか? あなたならどいうやって家族を守るのかということがセミナーのテーマでした。

 

 今までも、私たちは、「避難」ということの意味をもっと深く考えて欲しいと言い続けてきました。

避難行動というのは、「災いから身を避ける」ための行動を言います。本当に避難所は安全が守られる場所なのかを真剣に考えて欲しいとしてきましたが、いまだに『避難行動=避難所へ行こう‼』的な 盲目的、かつ慣習的な防災訓練が行われているところも残っています。

 

 国は、コロナ対策について避難所の開設及び運営マニュアルを見直すようにと県を通じて市町村に指示を出しています。また、今までに例がないほどの予算を付けて備品の充実を図るように促しています。

私たちも、協働事業者として避難所運営委員会を設ける活動に取り組んできました関係上、新しい生活様式の下での避難所の在り方について担当部署とテストランを繰り返してきました。それを基に、新しいマニュアルの制定と特に運営方法についてさらに深く考えなければならないと研究をしています。

 

 その中から見えてきたことは、できる限り自宅を安全にして避難所に来ない方法に取り組むべきということを、もっと市民へ発信する必要があるのではないか?ということでした。

自宅が多少被害を受けるのは当たり前だという気持ちの下で、その中でも避難所よりも安全な自宅で避難生活を続けることが大事ではないかということなのです。

座間市では現在、三密を避けるために、体育館の中に小型のテントを展開してその中に避難者を受け入れることを想定し備蓄をしています。小学校では、最大50張り程度(150名程度)のテントが展開できます。中学校の体育館では70張り程度とも積もっています。そのほか、空きスペースを活用して一人用避難者向けのパーテーションで仕切った区画を設けます。いずれにしても、従前の3/5程度の受け入れ数になると見ています。

 

 受入までの準備時間は、従来は最速で6時間と見ていました。しかし、新しい方法では最速で12時間、おそらく20時間程度は受け入れ作業はできないだろうと見ています。市民の方々は、体育館の中だけ準備できればと思われている方が多いのですが、バックヤードとなる校舎内の避難スペースが準備できない限り受け入れはできないのです。

トイレについても、感染者スペースのトイレと、通常のスペースのトイレを分けて準備しなければなりません。通路も両者が交差しないように計画をしなければなりません。わかりやすくするための色別のゾーンの表示などもしなければなりません。校庭に準備する「一次受付」で検温、問診を行って、同行者の生活適応状況を勘案して仕訳(トリヤージ)を行ったうえで通常の避難者は、履物を各自が持参した袋に収納して、検温済みの「リストバンド」を付けて指定されたテントの中に入っていただくことになります。そのあとは、よほどのことがない限りはその場所から出ないで生活をします。トイレは外部となりますので外へ出るたびに検温バンドを外して、再入場時に検温、消毒をすることになります。避難にあたっては、全員が体温計と歯ブラシを準備していなければなりません。

 

 果たしてこのような厳しい条件の下で避難生活を続けられるでしょうか? 非常にきつい生活になると思います。さらに、あまり知られていませんが、避難所自体を運営するのは「避難者自身」なのです。場内清掃、トイレ当番、換気当番、警備、配食、物資管理などは避難所運営リーダーの下で行うことになります。場合によっては、夜も交代で不寝番をしなければなりません。

このような過酷な生活をしていても、万一、避難所でクラスターが出れば最悪の場合避難所自体を閉鎖しなければなりません。市内でもワクチン接種が行われていますが、「変異種」はこれからも増えてくることが想定されています。おそらく30%程度の方はワクチンを接種しないことも考えられます。となれば、未接種者は自然に抗体を取得するまでは感染の危険性を考える必要があります。

 

 最大の心配は、現在、避難所運営委員会の初動期に開設にあたる方々の多くは65歳以上の方々です。当然、基礎疾患を持っている方もおられます。果たして、この初動期に活動していただけれる市民の方々がおられるかどうかも問われます。市の職員数を考えると職員を避難所へ割ける余裕はありません。

このようなことから、おうち避難を選択することが一番大事なことだと考えるに至ったわけです。そのために必要なことは、自宅の災害対応力を強くすることです。多少の不便さがあっても行政の支援が動き出すまでの間は、自分の家で周囲の人々とソーシャルディスタンスをとりながら乗り越えることが一番の選択だと考えます。

 

 家庭で備蓄するものの順位や、災害が起きると自分の家、周囲の家々にはどのような被害が出るかをイメージして、通り一片の防災グッズではなく、我が家が必要とするものを備蓄することが大切だと思うのです。

また、行政は「おうち避難者」への支援体制を構築する必要があると思います。

市民として、災害で行政に負担をかけないことがまず第一です。そしてこの故郷を守るために市民として何ができるかを考えることが大事であることを話させていただきました。

行政からという気持ちはわかりますが「~から」ではなく、むしろ市民一人一人が行政へ何ができるかを考えなければならないと思います。

 

 様々な方が住まわれています。時間帯によっては、保護者が帰宅できないことも考えておかなければなりません。共働きが増えてきていますのでこの課題も乗り越えなければならないと思うのです。

今回のセミナーの感想がどうなのか興味を持っています。座間市は、危機管理力が高い自治体でした。この特異性を研ぎらせることなく災害からの被害を最小に抑えることによって復旧や復興も早くできるようにしたいと考えています。私たちも、可能な限り市へ提案をしながら一方では、市民の方にも防災というカテゴリーではなく、災害対応力と受援力を高められるように取り組みたいと思います。

 

 最後に、私たちが災害や危機管理などを学ぶ場所として取り組んでいるSL災害ボランティア推進委員会が行う座間市消防本部を使わさせていただきながら取り組んでいます、「災害救援ボランティア養成(県央・相模原)講座の説明もさせていただきました。ぜひ、市民力の強化の一つとして受講していただきたいと思います。地域の災害対応力の向上は地域のノウハウの蓄積が大切だと思います。輪番制の災害への取り組みには限界が見え始めています。だからこそ、災害救援ボランティア活動者が求められています。ぜひ、受講をお待ちしています。