· 

2022年協働事業 マイタイムライン講座(水災害)編

  2022年度座間市危機管理課との協働事業である「市民防災・減災啓発事業」の第1回セミナーを行いました。

6月25日(土曜日)会場の座間市消防本部4階の多目的室には、募集人員の30名の方が参加してくださいました。

今回の企画は、常総市の鬼怒川氾濫災害からの反省から行政機関は主に「水災害」の対応を「災害イタイムライン」というツールを使って災害対応の手順と、関係機関との連携について強化してきました、

 今回は、この考え方を市民べースにグレードダウンして「私たちの災害タイムライン」という形で「マイ・タイムライン」の手法を紹介しました。

 その、講座の1回目は「水災害」を中心に水災害から命を守るという視点で市民、家族、企業がそれぞれが対策に取り組むという思いで行いました。

 基本は、国交省のホームページでも取り上げられて各地で取り組まれているものを参考に、座間市の考え方を方針に準じて皆様と一緒に考えることにしました。

 皆様もご存じと思いますが災害には、予報がある災害と、予報もなく突然襲ってくる災害とがあります。

今回は、事前予報がある災害の一つである「気象災害」の最悪場面である、集中豪雨、台風、線状降水帯による過去に体験したことにないほどの豪雨による河川の氾濫、洪水災害などをテーマにしました。

 座間市でも2019年の台風により、相模川上流に位置する「城山ダム」が予想を超える流入水量によって危険になり、神奈川県が緊急放流を行う事態になりました。結果、約1000人の市民の方が、指定された避難所へ避難をしました。一部に混乱も見えましたがおおむね整然と避難が行われました。

 この教訓から見えてきたことも含めて座間市の取り組みや、私たちが、水害被災地で見聞きしてきた被災者から教えていただいた体験を、この地で再現しないことを願って進めました。

 

 座間市は、2021年度にホームページTOPページの「緊急防災情報」のバナーの下の部分を大幅にリニューアルしました。とてもきめ細かな使いやすいものになりました。残念ながら、そのことのPRは十分だとは思いません。

であればこの際このことをベースに「マイ・タイムライン」の考え方とコラボする形で取り組みました。

「いのち」に係わる災害情報は自らが取り行くというのが、災害に関する活動者である私たちには自然に身についた習性になっています。しかし、多くの市民の方は「知らせてくれるもの」と考えているようです。これが「災害の時に行政は何をしてくれるのだ」という考え方になってしまっているようです。これでは、助かる命も助からなくなるのです。自分の命は自分で守るというのが基本です。それが、私たちが座間市とともに築き上げてきた「生き残らなければ何も始まらない」というキーワードにつながるのです。

 

 座間市のホームページもこの時代の流れに合わせてハザードマップのバナーをクリックすると「わが街ガイド」にリンクが飛び座間市における「ハザードマップ「」行き着きます。これらの使い方を普及することも大事ではないかと織り込みました。

多くの市民の方は、行政の発信する「防災行政無線」が全てを教えてくれるのだと思っているようです。「地震です避難してください」という情報も流されるとすら思いこんでいるようです。当然、水害の恐れのある情報も受け身で待っていれば声をかけてくれるという大きな錯覚があります。この溝をどのように埋めるのかについても挑戦してみました。

 座間市には、相模川のほかに鳩川、目久尻川が流れていますがこれらの河川はすべて*㊟1級河川なのです。このような水の背景を踏まえて、水災害には対しては、何時ごろから?、何を?、どのように備えて?、具体的にいつ頃避難行動に移すべきなのか?の判断が求められます。豪雨の中で「防災情報無線」は雨音で消されてしまします。脱線しますが、音声情報から必要な情報を取るには、音の流れに正対しなければ聞き取ることはできません。つまり、情報は自らが自発的にとり行くことが基本なのですね。良く放送の音が聞こえないのでスピーカーを増やして欲しいという要請で市内のスピーカーの数は増えましたが、逆に放送の音がお互いに干渉しあって聞き取りにくい状況にもあります。また、情報を取るのだと言って、田んぼや河川へ状態を目視するために出かけて命を落とす例も幾多の災害の時に発生しています。

 

 参加された方のテーブルの上には、今日の資料が一式封筒に入れて配布されています。

追加で「避難行動の目安のシール」を配布しました。また、ワークショップの中で使うものとは別に、家で家族とともに考えるための白紙のシートも配布しました。

合図とともに、参加者はそれぞれの住んでいる場所を想定して、台風の進路発表される1週間前ぐらいから川があふれて洪水になるまでのイメージを思い浮かべながらシールを置いたり、はがして貼りなおしていたりします。この、考えながら行動を決めることが大事なのです。減災力・災害対応力は災害に対するイメージの力なのです。

人によっては、私のところは川から離れているから問題ないというイメージを持たれる方もいますが、ハザードマップを見ると「内水氾濫」の表示が出ているところもあります。座間市でも、市内では標高が高いといわれている地域でも内水氾濫の危険性が示されている場所もあるのです。まっ平な地形というものはないと言ってもいいと思います。少しでも低い場所があればその個所に水がたまることがあります。

 だから、油断がならないのです。私たちも様々な場所の被災地に行きましたが、そこで聞かれる言葉は「まさかこの場所で・・・60年住んでいたのにこんなのは初めてだ」 わかります。確かにそう思いたくなると思いますが、すでに60年前の経験は通用しないほど、気象環境が変わっています。60年前には水の流れが別のところにあったのだと思います。しかし、人口増加に伴いその地域の居住環境も変わっているのです。だから、一番新鮮な情報によって自分でまたは、地域で考えて行かなければならなくなったのです。

 

 ここで考えなければならないのが、避難行動のタイミングなのです。2021年5月から避難勧告という考え方が廃止されて、「避難指示」と区分けされシンプルになりました。

 災害の状況を「レベル」で表すことはわかりやすいのですがレベルと現実の避難行動の関係がうまく繋がっていない例が被災地で起きてきました。私たちのように災害の普及活動に参加していても、「避難勧告」という用語と、「避難指示」の区分がどちらが先なのかわからなく人もいました。また、行動の指示を出すのは「誰なのか?」という区分も曖昧な雰囲気があり、国の研究会でも様々な意見が出ていたと聞きました。2016年岩手県岩泉町で起きてしまった台風10号では「避難指示」が出されていなかったことが課題に上がり避難準備に時間がかかる「高齢者等」への対策が必要なことが見えてきました。災害対応策が様々な方法が手段ができると新しい用語が増えてくることは今もなお課題となっています。特別警報という場面がありそれが不調に終わって被災者が出るとその上を表す用語が生まれてきてしまう傾向があります。これは、これからも課題になると思います。

 2020年5月の新しい区分けでは、多少はすっきりして、発令者も明確になってきました。

今回のレベルの最上位である「レベル5」はより理解がしやすくなりました。この状況は、すでに災害の真っただ中に巻き込まれている。自分の命は自分で守って欲しいというニュアンスが打ち出されました。

このことは、私たちも引き続き伝えて行かなければならないと思います。



 講座を終わって、受講者の方々からのアンケートを見させていただきました。お母さんと一緒に参加された小学1年生のお子さんから、氏名を書いて感想を書いてくださいました。やってよかったと思いました。

また、ピリッと指摘をいただいたコメントもありました。「このような講座に参加する市民は概して意識が高いと思う。このような講座に出ない市民への呼びかけを工夫して欲しい」という私たちが日ごろから思い悩んでいるコメントもいただけました。課題はまだまだ数い多くあります。

「避難」という言葉の真の意味を理解しないままに「旧態依然」の市役所職員や消防署の隊員を呼んで「防災訓練」を行うパターンが残っている地区もあります。災害の時のイメージを考えたら、自分たちの力で乗り越えなければならないはずです。

 女性の力を発揮できない地域も多く観られます。私の経験からも女性力ははるかに男性を越えていると思います。どうか、私たちが取り組んでいる「災害救援ボランティア講座」を受講してください。

もう、当番制の防災体制では乗り切ることはできません。座間のこの地には「結の組織」があったのですが、最近では見ることができなくなってきました。これを機会に私たちも変わってゆかなければならないと感じた講座でした。

秋には会場を変えて「予報の無い災害」についての「マイ・タイムライン」の講座を計画しています。

また、ざま災害ボランティアネットワーク主催の「まちなか防災塾」などの企画もあります。

ボランティア活動者が、各自がもっているスキルを活かしながら活動できる世界を生み出せればと願っています。

 

今回の水災害の「マイ・タイムライン」の講座は座間市でも、水災害の可能性が高い地域への出前講座も取り組みます。ぜひお声掛けを下さい。ご参加ありがとうございます。

 

㊟:1級河川とは?

一級河川は、私たちの暮らしを守り、産業を発展させるうえで特に重要なかかわりをもっいる水系(一級水系)のなかの河川のうち、国が管理している河川です。 二級河川は、一級水系以外の比較的流域面積が小さい水系(二級水系)の河川のうち、都道府県が管理している河川です。

 

ダウンロード
広島安佐南区で起きた災害をもとに、避難についての基本的な考え方が示されているようです。
国民の皆様へ(水害・土砂崩壊)災害へ.pdf
PDFファイル 109.2 KB