· 

2024年度協働事業② 市民減災・発災対応ワークショップ

 2024年度座間市とざま災害ボランティアネットワークの協働事業② 市民防災減災セミナー「頑張らない防災」と「おうち避難のススメ」を開催しました。

 

 外は今日も酷暑でしたが数多くの市民の方が参加してくださいました。全員で25名と近年にない盛況ぶりでした。

これは、おそらく8月8日の「南海トラフ地震の注意報」とその直後に来た、神奈川県西部域を震源とする地震の影響だったのかなと思います。

 

 この会場では、毎年この種の講座や、ワークショップをしてきました。さすがに2020年から2023年の新型コロナの時期に行った講座では参加者の数が伸び悩みました。

 

しばらく参加者の数が伸び悩みましたが、神は私たちに味方をしてくれるかのように、時々「地震」や「水害」という災害を感じさせてくれるのです。今回も、募集と同時に参加者からの応募が来たようで開催者としては、ほっとしました。

 

 8月8日の南海トラフ地震の件もありましたので、急遽、担当課と相談させていただきプログラムの一部を変更して「南海トラフ地震と座間市」の関係について触れさせていただきました。

南海トラフ地震は直近では1944年そして1946年に発災してから80年を経過しました。おおむね100年から150年程度の周期で駿河湾から紀伊半島沖、四国沖そして今回の震源地となった日向灘にかけてのどこかのプレート境界が動いて大きな地震をもたらせるという歴史を持った地震です。その特徴は、わが国の直近海域で起きるために津波が数分のうちに沿岸部を襲うとされています。

 

 座間市民の方々は、この地震はずーっと南の地域の地震で、私たちに直接影響はないのだという感覚でいるようです。

しかし、国はこの地震の被害想定域を1226707市町村として、法律で地震対策を講じる必要性がある地域を指定しています。その707の市町村の中に「座間市」が含まれていることをお話させていただきました。

 この地震がもたらす被害想定では、失われる人命、物損は2011年3月の東日本大震災をはるかに超える数が想定されています。

私たちが、平穏に暮らしている裏側にはこのようなリスクがあることをきちんと伝えたうえでワークショップをスタートさせました。

 

 私たちは、永年、「発災後の3:3:3」というテーマでワークショップをしています。地域の防災・減災・そして発災の対応を参加した方々が、お互いに自分たちで考えて、「何を」「どのようしたらよいのか」ということを感じてもらい、それを参考に自分と家族そして隣人、地域の災害への対応を考え、行動に移すことを目指して取り組んでいます。

有名な先生方のお話は、学問の裏付けによる理論的なお話です。それは大切だと思いますが、災害の被災者になる可能性がある市民は、これらの知識も必要ですが、災害の被害を受けるかもしれない自分のことがどうなるのかを考えなければならないと感じてこのプログラムを続けています。

 

 発災直後の3分間の行動は?、3時間の行動は?、3日間の行動は?ということを思い浮かべながら「付箋」に書き出して、それをタイムテーブルに展開して改めてその姿を俯瞰して、「自分はどうなんだろう」、「我が家は」、「私の地域は」、「私の勤務先は」というように災害を考えるきっかけにしてほしいと願って取り組んでいます。想像ができなければ「手」は打てません。

 

 従って、チームで書き出された付箋の内容を拝見してあいまいな表現についての質問はさせていただきますが、タイムテーブルにまとめられた全体の流れに対して、これは・・・とか、間違っているよ…などという指摘はしないようにしています。

自分としてどう行動するのが最適なのかということを参加した、ほかの人の考え方も参考に、考えるヒントにしてほしいのです。

 講座のまとめとしては、私たちが被災地の中で、被災者の方々お手伝いをさせていただいてきた中で伺った話などをもとにこれは伝えておかなければと思うことをまとめて話をしてきました。

 

 今回のテーマである「頑張らない防災」というのは、防災、防災といわれて「あれをそろえて」「これをこうして」…的に情報番組などによって「押し付けられるような」防災行動というものは続かないのです。疲れてしまうのです。年間、何十回と襲われる体感地震です。その都度ビクッとするわけです。疲れることは続かないから「防災」というものはしょうがないよ。来たら来た時のことだ。行政が何とかしてくれるよ…的な「他者依存」の行動が蔓延してきてしまうのです。

 

 だったら、「頑張らなくてもできる防災」があれば安心できるのではないかと考えたのです。

それは、日常の生活の中に防災行動を刷り込ませておけば良いのではということにたどり着いたのです。それが「6つの備え」ということなのです。これについてはここでは書きません。(お知りになりたい方は受講してください)

基本は発災から72時間(命の時間)は行政を当てにせずに「自助」そし「隣助」で助け合って生き抜くことに尽きるのです。

なんだか、馬鹿にするなよと思われる考え方かもしれませんがこれしかないと思うのです。

 

 今回の南海トラフ注意報で、市内のホームセンター、スパーでは水やそのほかの防災用品が棚から消えていました。別の理由も.あるようですが「お米」も姿を消してしまいました。私たちはこの現象をみて、「なんだろう」と考えてしまいます。日常の生活の中に災害の備えのルーチーンが普段の生活の中に備えの行動として刷り込まれていればこんな行動は起きないはずなのです。私たちの仲間は、何もあわてなかったと聞きました。

 

 そして、何よりも住んでいる家を頑丈にすることです。つまり住まいの耐震化に取り組むことです。「住居に殺される」ほど悲しいことはありません。能登半島地震でも、何事もなく安全な生活を継続できた家があります。それは、相応の理由があるからです。つまり「入れ物を頑丈に、中味を固定する」ということをきちんと守ったからです。

とはいっても、すべてを完全にできないと思いますが、まったく準備をしていなかった人よりは安全な生活ができたわけです。

家に大きな被害がなければ片付けて生活は継続できます。あえて「避難所」という危険な場所へ避難する必要もないということです。

 

 今日の受講者の方の中にも、私が、水災害を除いては「避難時には行かない」と話したときに「えっ」という顔をされた方が散見されました。その方の中には、自分は避難所に行くものというルーチンがあったのかもしれません。残念ながら、避難所は簡単に避難者を受け入れることはできないのです。なぜなのか。 わが国の法律では、被災した自治体そして職員が被災した市民の方を助けなければならない建付けになっています。果たして、そのようなことが可能なのか? ここ数年間の被災地の状況を見れば「できない」ことが見えてきています。公務員である職員の方々は、我が身を顧みず精いっぱい努力して取り組んできました。しかし、職員も被災者なのです、この視点を忘れてはならないと思います。

地域は高齢化が進み、10年前と比較しても、相互の助け合い力は著しく落ちています。また、人口が急増している都市部では、高層建造物が増えています。流入した新しい住民組織が機能するかということに疑問が呈されています。公的な救助設備(消防など)が追い付いていません。

 

 私たちには、市民としてできることには限界があります。

今日も話しました。「死なない」「けがをしない」「火事を出さない」これが市民として最初に考えること。そして、72時間は行政の負担にならないように生き抜くこと・・・なんだかおかしいよと言われる方もいると思います。でもよく考えてください。

発災時刻は地球の都合です。1日24時間を3分割して考えると、8時間✖3となります。職場や学校にいる時間、寝ている時間、その他の時間どの時間でもリスクが伴います。昼間の発災の場合には、世帯主の方は帰宅できません。少なくとも2日から3日は親子だけで生活を続けなければならないのです。

つまり、災害から命を守り、生き延びるということは、「想像力」をどこまで考えて、備えるかということなのです。

 

 そのようなことを示す意味で、講座のまとめの最後に北海道胆振東部地震で有名になった「ブラックアウト」のシーンをお見せして、今夜、震度6クラスの地震が来た時、寝室からリビングを経て玄関に出ることができますか?という問いかけで終わりました。

災害のことを我がこととして考える機会にしていただければ幸いです。

 

 今日の講座を受けて、ガラス飛散防止用のフィルムを購入したり、家族一人に一つ、100均のヘッドライトを購入して枕の下に入れていただければ「ルーチン」が一歩進むと思います。自然体で備えましょう。食べ物も普段食べているものをちょっと多めに備えて「回転備蓄(ローリングストック)」を心がければ大騒ぎに振り回されないで暮らせます。

暑い中お疲れさまでした。

 

わがチームのスタッフも各グループのサポートに入ってくれました。ありがとうございました。