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防災の日によせて 市民団体の思い

 9月1日、「防災の日」に神奈川新聞の「減災新聞」に私たちの活動が掲載されました。ありがとうございます。

 

 手前みそになりますが、私たちは、前市長の危機管理力の強化という目標に対して12年前から座間市にShakeOut訓練を提案して「行政」と「市民」が協働で取り組む活動を行ってきました。

一時、各自治体がブームのようにShakeOut訓練を採用して行ってきましたが、首長が交代するといつの間にか消えて行ってしまっています。座間市は、25年に向けテーマの協議に入ります。この市民と行政との絆のレガシーは絶対に消しません。座間市の危機管理の共通の言葉は「生き残らなければ何も始まらない」です。

これも、私たちの提言で基本となっています。

 

 私たちは、3・11の後から、学校・幼保の防災教育や市民団体、自治会、事業所団体、身体障がい者団体、介護施設に対して様々な取り組みをしてきました。

私たち自身も、被災地に入り、災害の現場に立って、被災地の風、匂いなどを体感する中で様々な学習をしてきました。

この、被災地の体験から導き出した答えが、「自助60%」「隣助20%」そして、小さな隣助がつながり行政が描いている「共助」が生まれるということを啓発するに至りました。

「公助」がすぐに機能しないことは行政自身が知っているのですが、このことを行政が発信すると「炎上」につながるというころで私たちと行政が役割分担しながら取り組んできた結果が「頑張らない防災」ということにたどり着きました。

 

 今回の南海トラフの注意報・・・神奈川西部の地震、迷走台風・・・このように災害が起きると防災・防災と騒ぎます。

今がチャンスだとやたらに多くの情報が流されます。しかし、その内容のほぼすべては私たちの活動の中で発信し、さらに、体験型訓練という手法で「知識」を「技」に変える試みも愚直に取り組んでいます。知識が技に変化しなければ何も役立たないのです。その公開版が、座間市の冬の風物詩となっている1月17日の「防災とボランティア週間」に合わせて5日間、開催される「ぼうさいカフェ」なのです。

 

 座間市役所の1階の玄関わきの「市民サロン」のスペースをお借りして、淹れたてのコーヒーや紅茶を飲みながら災害について、備えについて・・・被災地での話、被災経験をされた方のお話を聞く場を開いてきました。この期間の市役所の玄関を入るとコーヒーの香りが漂います。スペースが許される範囲で「家庭のトイレ」の災害時の活用法、ガラス食器棚のガラス「飛散防フィルム」の貼り方の体験、「災害食(非常用炊き出し袋)」、「電気の自助」(マイ発電所プロジェクト)・・・などについて、打ち解けた形で「防災談話」ができるイベントに取り組んでいます。来年2025年もすでに計画が進められています。

 

 基本は、平時の生活の中に「備え」を自然に滑り込ませる・・・行動の習慣化・ルーチン化・・を呼びかけてきました。

さらに、「家に殺されない」ということから耐震診断の必要性、助成金の話などを伝える取り組みをしています。

我が国はコロナ感染症を機に避難所の在り方も変化してきました。座間市も体育館の中に小型のドームテントを並べる方式になりました。当然、受け入れ数は減ります。しかし、私たちは行政職員+市民の避難所運営委員が同じ場でお互いに意見を出し合いながらあHUG(避難所運営ゲーム)などにも取り組み、行政もそれに合わせてガイドラインも作りました。

このような取り組みをしても、座間市も他の自治体と同様に高齢化が進んでいます。

 

 果たして所管官庁が描く避難所って開設・運営できるの?という疑問がわいてきました。

「避難」という言葉の意味も別のワークショップを通じて啓発しています。

避難とは、「難」を「避ける」という意味であり必ずしも「避難所に行く」ことでないことの発信続けてきました。

そして、行き着いたところが「おうち避難雄ススメ」ということなのです。まだまだ、在宅避難の支援のスキームを今後考えてゆかなければなりません。しかし、家が安全ならばわざわざ「バリアアリー」の危険な、非衛生的な避難所へ行きますか? 

もっとも安全な場所…すなわち「我が家が一番だよね」ということを伝えています。

ただし、水災害は別であることは明確に伝えています。

 

 行政も、「出来ないこと」は「今は出来ません」と伝えるべきです。

現在の法律では、被災自治体の職員が、自身も被災している中で「家族」を放りだして市民の支援に当たることになっています。

皆さんも冷静に考えてください。発災後72時間は「いのち」の時間といわれています。被災して生き埋めになっている方も出てきます。「いのち」は一つ。だからこそ、行政に負担を掛けない工夫をしなければならないと思うのです。

これについては、様々なご意見、ご批判をいただきます。しかし、そこは引きません。被災地というのは残酷な場所なのです。

生きるか死ぬかという場所であることをこのような講座や体験型訓練を通じて伝えてきましたし、今後も伝え続けます。

 

 「頑張る防災」は疲れます。疲れるから続かないのです。であれば、疲れない防災・減災の取り組みの方が楽です。

今回の、今回の南海トラフに際しても私たちのチームは、誰一人、モノを買い込むようなことはありませんでした。

 

 基本は、日本は「災害大国」だということを知ることです。そして、その国で生きてゆくということを選択されたのは「あなた」自身です。であれば、「自助60%」は現実なことなのです。障がいを持たれた方もおられます。高齢の方もおられます。

でも、その一瞬は「私が一番だ」ということは言えないのです。この国に住む以上は、こららをすべて含めたうえで「減災」、「防災」さらに広義の意味では「危機管理」を考えてゆく必要があると思います。

 

 発災後の「3:3:3」ワークショップは、私たちの財産です。もし、ご興味のある方がおられましたら、できる範囲でお伝えしたいと思います。「頑張らない防災」の普及に皆さんも協力してください。

 

 よく、「災害時、行政は我々に何をしてくれるのか?」と 問う人がおられます。でも、その前に、「災害時、私たちが住んでいる「まち」のために何ができるのか」ということも考えて欲しいと思います。

 

地球にはカレンダーや時計はありません。忘れないでください。