令和6年度(2024年)座間市総合防災訓練にざま災害ボランティアネットワーク(ZSVN)として参加してきました。
座間市地域防災計画では座間市に大きな災害が起きた時には、座間市社会福祉協議会と当団体、座間青年会議所などが連携して「災害救援ボランティアセンター(VC)」を開設することが規定されています。
そのために、社協をはじめ関係団体は、年間2回の訓練を13年間継続してきました。幸いに、座間市が大規模被災地になることはありませんでしたが、過去において座間社協、ZSVNは被災地に入って様々な活動をしてきました。
座間市は庁内に関連する業務のDX化の推進を掲げてきました。当然、VCのDX化も対象という判断で 約2年間検討を重ね検証訓練などをしながらこの課題に取り組んできましたが、座間市からの承認をいただけたことを受けて株式会社コンサイドさまの開発した「JoyLinks」を市民の方々にご披露することを含めた訓練としました。
VCというのはなかなか市民の方にご理解いただけません。
被災地のTV放送などを見ていてVCが開設された。まだ開設されない。ボランティアが足りない・・・・などの情報には関心を持たれる方もおられますが、その仕組みを理解している方はほとんどいないと思います。発災から3日から1週間のうちにはVCが指定団体の手で開設されることになっています。しかし、多くの自治体では(含む神奈川県)訓練をしているところは少ないです。
私たちは過去の被災地の中で見た現実から、行政は初動期(発災から1週間から2週間程度)は、個々の市民への対応は限られた範囲でしかできないということを知ってきました。それは、非難でもなんでもありません。災害時のマンパワーが足りないのです。
では、誰が被災された方々を助けるのか? それは、第一位は市内で被害が少なかった市民の方なのです。つまり災害からの復旧は「隣助」「お互いさま」の気持ちからスタートするのだと思います。
口を開けて待っていても、市役所に電話をしても、誰も助けてくれないのです。唯一、頼れる場所が「災害救援ボランティアセンター」なのです。これを知らしめなければ、復旧が遅れます。それは復興の遅れにつながります。
そこで、考えたのが以下の活動なのです。
このシステムは今では多くの方がお持ちになっている「スマートフォン」を活用して、①活動ボランティア登録、②助けたい気持ちと助けて欲しい気持ちをつなげる「マッチング」、③活動に必要な支援場所までの地図情報、④作業で使う道具類の貸し出し作業までをQRコードを読むことで終わり、直ちに活動場所へ出発することが可能になるアプリです。
また、作業を終えたグループのリーダーは、依頼者から作業終了のサインをもらってVCへ帰着すると、⑤資機材の返却、⑥活動報告の確認を終えて、⑦帰着のQRコードを読み込ませると活動グループの帰着時間、人数がモニターに表示され一件完了となります。基本的には「ペーパーレス」です。
しかし、活動者の中にはスマートフォンをお持ちになられない方、なんとなくQRコードが不気味で嫌だといわれる方には、従来の紙ベースで対応も可能になっています。
今日も、約40件ほどの活動ボランティアを現場に派遣しました。まったく問題なく帰着までの処理を終えることができました。
そして、その活動状況は場内のモニターに表示され、VCの活動終了時刻と同時に、今日の活動に関する集計が表示され、データーとして印刷されますし、必要に応じて、市の災害対策本部、県社協やへ提供できるようになっています。
このことが、非常に大事なことなのです。多くの被災地では活動ボランティアの方が、お帰りになってから、VCのスタッフは、多くの作業をしなければなりません。その第一が集計作業です。依頼案件に対してどの程度できたのか、翌日への繰り越し件数はどうなのかなど、様々な数字を求められます。従来の紙ベースでは、社協職員の方々は電卓、PC画面を見ながら遅くまで「残業」となります。
一日、二日で終わる作業であれば耐えることができます。大規模な災害であれば毎日続きます。過去には、スタッフがバタバタと倒れた事例は数多く報告されています。
まず考えなければならないのは、社協職員をはじめZSVNの会員、青年会議所の会員の方も被災者なのです。家族のこと、両親のことなどを放りだしてVCに入っています。この苦行を少しでも軽減することができればと願って推進してきました。
座間市のご理解のもと、コンサイド様の協力をいただき素晴らしいシステムが稼働できました。おそらく、このアプリを国や県が構築するとなると途方もない金額が必要になると思います。何よりも、ユーザーの希望を即座とまではいかないですが1週間あれば希望が反映されます。ランニングコストも信じられないほどの安価です。
その大本の思いは、一日も早く被災者を支援し生活の復旧に役に立ちたいという情熱なのです。
座間社協をはじめ私たちは様々な被災地に入って、VCの活動の中からニーズを把握して、役に立てようと思いコンサイド様やSLネットワークで被災地支援で「これがあれば・・良いのになー」という想いを取り組んできた成果です。
今日は、お隣の大和市社協、逗子社協、県社協の方もお越しになってボランティア役、スタッフ役を体験されました。これは素晴らしい。神奈川県もこのシステムでつなぐことができれば最高という感想もいただけました。
運営スタッフも不足する事態もあります。その時には、救援活動に来てくださったボランティアさんに「済みません。こちらを手伝ってくださいませんか?」とスマホを切り替えることで「こっち側」の方になっていただけるのです。
今日は行いませんでしたが、「助けて情報」の入力も必要です。これも同じアプリで対応可能ですが、スマホからの入力は大変なのでPCなりタブレットから入力して、「派遣先選定会議」へデーターを提供することができます。決定した派遣先については、VCのスタッフが現地に赴いて支援内容を確認して派遣人員の決定もします。
さらに、「助けて情報」が多くて社協で対応できないという場合には、例えば、災害相互協定を締結している市町へお願いして遠隔入力も可能になっています。
今日は、疑似派遣先で実際に作業をしていただきました、暑い中大変だったと思いますが、瓦の後始末という想定で一輪車を使って、瓦を積んで運搬する体験でした。一輪車(ネコ)は実際に操作するのは簡単ではありません。被災地では、リヤカーなどを動かせるスペースはありません。ようやく作られた「踏板」の上を一輪車に乗せて道路などに運び出さなければなりません。
また、後半の派遣作業では「プラダン」の自立スタンドを使った土嚢の作業について体験をしてもらいました。「なぜ?」プラダンなのかということや、土嚢袋の縛り方、土嚢袋の扱い方などを学習してもらいました。何よりも大切なことは「安全に行って、安全に帰ってくる」ことなのです。
ZSVNの展示ブースでは「マイ発電所PT]の展示を行いました。晴天なので発電量は十分でした。しかし、残念ながら「南海トラフ注意報」のことも忘れ始めているようです。
「電気の自助」というとこれまた、屋根の上に太陽光パネルを取り付けて、蓄電して・・・という大掛かりなことを考えて、市もこのような取り組みには補助金を出すという施策を打ち出していますが、そんなに簡単にはできません。
「自助」の機運を高めるには「小さなシステム」を作り広げることが大事だと思います。神奈川県の想定でも、大規模災害時には、電気は10日から12日程度、不安定になるとされています。本当に大丈夫なのか・・・このような個々人が取り組む活動を成長させることが「危機管理力」の向上につながると思います。そして、これこそが行政の負担軽減になるはずです。
水や食料はプッシュで入ってきます。しかし、電気はどこからも補給はありません。このことを真剣に考えて欲しいと痛切に思いました。
地球にはカレンダーはありません。時計もありません。
全て、人間の都合で作られたものです。いつ来てもおかしくない災害です。「まさか私が・・・被災者になるなんて・・」私たちが、被災地に入らせていただいて聞いた言葉です。
座間市ではこの言葉が出ないことを切望します。
スタッフの方々は本当に暑い中お疲れ様でした。
コメントをお書きください