被災者生活再建のための仕組みを学ぶ研修会

9月28日 座間市消防本部4階 多目的室で 災害に遭ってしまった。命は何とか助かった。でも、コツコツと働きながら築いてきた、家も何もかも大きな被害を受けてしまった。

この先、どうして生きてゆけばよいのだろ・・・・を解決するためのワークショップを行いました。

 

2024年1月1日に石川県能登半島を襲った「令和6年能登半島地震」は能登半島の多くの市町に甚大な被害をもたらせてしまいました。

復旧作業も進み、何とか生活の先行きに灯りが見え始めた9月21日 再びかってなかった大雨が降り、地震で緩んでいた市町の河川や急傾斜地が崩壊、土砂崩落により家屋が潰されたり、急激に水かさを増した中小河川は、地震で弱くなっていた堤防を壊して越水、浸水が起き、立ち直り初めた地域を再び「水害被災地」と化してしまいました。

 

座間市、県央地区などでような災害が起きた時に、私たちは、その後の生活再建についてどうやって取り組んでゆけばよいのだろうかということはざま災害ボランティアネットワークの中でも研修をしなければと思い続けてきました。

今日のワークショップをお願いした、永野海先生はまさしくこの災害の復旧、復興の渦の中におられる弁護士の方です。

 

会場には、47名の受講者が熱気あふれる意見交換をしながら災害基本法のもとにある、災害救助法という法律がありますが、被災者はこの法律に定められた手順で自分の生活の再建について手続きを取ればその被害状況に応じた金銭的な支援を受けることができるようになっています。

今日のテーマに興味、関心をを持たれて参加してくださった方々は、座間市で日ごろから市民の方々と仕事、生活相談、行政との橋渡し、生活の見守り、災害ボランティア、地域の住民の方々への啓発活動にかかわっておられる方ばかりでした。

 

先生の、現実の被災地の話、過去の被災地からの教訓から、現在の被災者の方が、故郷を捨てないで何とか生活の再建ができるため

どうやってご苦労を重ねて来たかのお話から始まりました。

我が国支援のスキームは、避難所の運営支援、救命・救護そして健康面のサポート体制は諸外国の被災者支援に比しては問題は内在していても「災害関連死」を防ぐという面では優れているとのお話でした。

しかし、現実の課題に立ち返って避難所、仮設住宅、半壊の自宅で暮らしている方々の、この先の支援についての行政からのサポート力は弱いということが指摘されてきました。

先生方は、行政は確かに上位組織からの出される情報をポスター、ホームページ、行政広報誌、郵便など通知はしているが、それだけでとどまっている現状を危惧してきたわけです。

行政は、限られた職員によって当面の被災者に対する支援をしなければならないのです。もう、手一杯なのです。従って、役場に来た人には一通りの話、説明はするが、彼らだって深い研修を受ける間もなく手引書をを見ながら窓口で対応しなければならないのです。だから、役場に来られない被災者のもとへ出かけて説明をする時間、人員が決定的に足りなく対応は遅れるばかりになってしまうのです。

 

ここに気づかれた弁護士さんが、日弁連の災害被害相談に乗り出したのです。

我が国の諸制度の多くは「本人申請主義」です。本人が手を上げなければ復興のパスポートといわれている「罹災証明書」も受けることができないのです。この第一関門までの道筋(準備しておくべきこと)、被害認定の関門をどうやって乗り越えて次に進んでゆくのかに切り込んだのが永野弁護士の仲間の方々の活動なのです。

 

今回は、座間市の市民相談に対峙せざるを得なくなる方がた、そして私たちの団体も災害救援ボランティアセンターに関わる活動の一環として知識を身に付けるために受講していただきました。

後半のグループによるワークショップは、なかなか白熱していました。「半壊」の判定を受けた建物をいかにして生かしてその後の生活を立て直すか・・・この意味を知っていただけたことで少し生きる望みが出てきたのかなと感じました。

現実に受講された方々の中には、65歳以上の高齢の方もおります。被災して、賃貸住宅に入るのか? 建て直すのか? その時、果たしてローンを受けられるのか? 今、住宅ローンを抱えている方もいると思います。この方の家が壊れて解体せざるを得なくなった。そして、新たにローンを組んで家を再建するとき「二重ローン」になるのか、それとも「自己破産」の道をたどるのか?それを選択すれば、ローンも借りられなくなる・・・という現実も知ることができたと思います。

 

今回のワークショップですが、私たちの所属する災害救援ボランティア推進委員会の講座を修了したセーフティーリーダー(通称:SL)が取り組んできた研修の方式を採用して、講座で使用するテキストは、クリップで止めて置き、持ち帰ってグループの中で自己啓発のような機会の場でコピーをして使えるようにしました。さらに、今日の講座で使用した、ゲームボード用の台紙、ゲームに使うカード、ゲームを進行するためのテキストを封筒に入れてお土産に持ち帰っていただきました。

 

受講された皆さんが、被災されないことが一番です。私たちが取り組んでいる「頑張らない防災」「おうち避難のススメ」の中にもありますように、うちに殺されない。家具の固定と配置の再検討、ガラスを使った家具類のガラス防止、そして「6つの備え」のれ取り組みが大前提です。

そのうえで、受講された方々が、被災された方へ「あなたは大丈夫。生活の再建は必ずできる」という相談に乗ってあげてください。そして、弁護士会、司法書士、行政書士などの「士業」の方につないで手続きを取ることを実現してください。