F高校の防災授業・・・気づけば12年目

 今日の活動場所のF高等学校の防災授業は、12回目です。

長いお付き合いです。福祉の選択科目の中に「助ける人になる」ということをテーマに続けてきました。

今回から、講師を分担することにしました。

まだ、現役の会員ですが、ぜひ調整してみたいということでワークショップのパートを担当してもらいました。

PCのトラブルなどがあってちょっとバタバタしましたが、サポート人員もおりましたので何とかスタートしました。

テーマは、「発災後の3:3:3」という私たちが長年かけて育てて来たワークです。

災害が来て、何が大事なのかということを受講生に知ってもらうことさらに、その先に何が起きるのか? その中で自分はどのように行動するのか?ということを考えて、書き出してグループでまとめて、災害の後のことにつなげるというストリーで取り組んできました。
 災害は、いつどこで何が起きるかはわかりません。講師も1月1日にあった「能登半島地震」はもとより、自分の故郷である東北の仙台での、2011.3.11の時の体験を交えて話をスタートさせてくれました。
今日は、受講生は14名でしたので5名班✖2、4人班✖1で構成しました。3年生ですので3.11の時には、5歳ぐらいだったのでおそらく記憶に残っていると思いますしあとからの情報がある世代だと思います。


 福祉福祉課程を学び、次のステージに向かって思いを馳せている生徒もいるようでした。
災害の環境を把握してもらいました。それは「ハザードマップ」という、自分が今いる場所のハザード(危険度合い)をあらわした地図ですが高校生ではまだピンと来ていないようです。

神奈川県は、学区の壁を取り払っている関係で、地元の高校生という習慣が薄れています。かつては藤沢というと大体、藤沢から沿岸部の地域の子供たちで占められていましたが、今日の受講生は比較的近いと言っても、何か事が起きると、徒歩での帰宅はかなり困難な地域から通っています。まして、藤沢は長い海岸線を持つ相模湾に面した地形ですから、地震の規模によっては、この学校の付近も厳しい状況になると思われます。

残念ながら、これらの情報は受講生の頭の中にはない状態で日々の学校生活を送っているのです。

 

 このような中で、もし学校にいた時に地震が起きた! さて君たちはどのような行動をとるのか・・・ということを考えてもらいました。3:3:3の初めの3は3分間、次の3は3時間、そして最後の3は3日間(命の時間)を表しています。基本的には、生き残った市民は自分の力で72時間は生き延び伸びるというのが、災害基本対策法の建付けなのです。とはいっても、彼らに3日間の行動を考えさせるのは酷な話なので、24時間ではどうなっているのかを考えてもらいました。

生徒たちは、配布された3枚の付箋に向かって何かを書き始めました。「机の下にもぐり・・・」「窓を開けて逃げる」「ドアを開ける」「家族と連絡を取る」…など

 

 決して書かれたことに対して批判はしないというのがこのWSの特徴です。3分間終えました。付箋の色が変わります。時間の確認が行われます。発災時刻が11:00ですから11:03からがスタートです。3時間という時間を何に使うのか?なかなか社会体験が少ない彼らにとっては難問なのです。前提条件を忘れています。地震でインフラはすべて破壊されいるということが付与要件として与えたのですが、家族との連絡にこだわる生徒が見受けられました。だんだん時間が経つにつれて、「ご近所」とか「帰宅」という言葉が出てきました。「先生から許可が出たら帰宅する」という素晴らしいことがを見つけました。

こうして、各人が合計9枚の付箋に時間のステージ別に思ったことを書き出しました。

 

 そこで、テーブルの上にタイムテーブルの整理シートを広げました。そして、各ステージ別に付箋を読みながら貼ってゆきます。おんなじだ、いやそうじゃないんだ、そう意味じゃないんだ、などなど意見が交わされて発災後から1日(24時間)までもタイムテーブルができました。

 休憩をはさんで、各班で前に出て発表をしてもらいました。おそらく、彼らの心の中には、「あー家まで歩いて帰らなければならないのだ・・」「小田急線止まってしまうのか・・・」「コンビニは大丈夫かな」「電話って本当につながらなくなるのかな?」というような空気が漂う発表が行われました。例年よりも良い発表ができたと思います。

 

 そこで、講師が交代しまとめに入りました。

災害って、今までの常識が通用しない場面が目の前にたくさん現れてくる世界なのです。となると、皆さんにできることは極めて限られてきます。今、スマホと一緒にいつでも予備のバッテリーを持ち歩いている人は?と質問しましたが…残念ながらあまり多くはなかったのです。

 災害が起きるとほぼ100%は通信状況は悪くなることは、過去の災害でも証明されています。家族間、友人間の連絡は途絶することを覚悟して備えてゆかなければならないのです。バッテリーの切れたスマホはただの箱です。そこで威力を発揮するのが「アナログデータ」です。「家族防災議事録」の用紙を配布しました。家族で、災害時の対応について話し合いをしてその記録を書きます。出来上がったものをコピーして、家族で分け合ってビニール袋などに入れて、常にバッグなどに入れて持ち歩くことで「公衆電話」などを使って連絡が取れるのです。また、災害用連絡電話117、災害伝言ダイアルのシステムにも触れました。

 

 最後に、大切なことは、あなた方が生き残らなったら「災害時要配慮者」という方々を助けることもできなくなってしまう現実があることを伝えました。市民の私たちができることは「死なない」、「けがをしない」、「火事を出さない」ということだけといってよいのです。そのためにも「住まいに殺されない」ための「家屋の耐震診断とその結果に対して手を打つ」「家具の固定と配置の点検」「ガラスの被災防止」「TVの固定」「6つの備え」こそが大事なことを伝えて終えました。

災害からの被害は「イメージ力」が全てなのです。そのためにも「生き残らなければ何も始まらない」という言葉をしっかりと身につけて欲しいことを強く伝えました。